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「リオ!」
リオの腹に当たったかに見えた黒い雷は、リオが手にまとった赤い炎に弾き飛ばされた。
「大丈夫です、アルファム様!こいつがどんな魔法を使うのか、思い出しましたから!」
「…年を経ただけのことはある。あの頃よりも多少強くなったか…」
「うるさい!」
リオが、男の首に当てた剣を強く引く。
剣を引いた瞬間に男が動き、残像を残して俺の前に来た。
「おまえ達はしつこい。ここで始末しておかねば、後々面倒だ」
「アルファム様!」
男の腕がピクリと動いたのを見て、俺は剣を横に薙ぎ払う。
剣は男のマントをかすめただけで、男が放った黒い雷が俺の腕を貫いた。
「くっ!」
落としそうになった剣を握り直すが、貫かれた腕が痛い。
即座に治癒の魔法を施しながら、炎の玉を飛ばして男と応戦する。
リオが、城中に聞こえる程の大声で叫んだ。
「ここに進入者がいるっ!集まれっ!」
リオの声に、すぐに九人の兵が駆けつけた。
この城のある地域は、とても平和で、いまだかって争いごとが起こったことがない。
そのせいもあって、中央の城から連れて来た護衛の兵が四人と、元々この城に詰めていた五人の兵しかいない。
もっと兵を連れて来れば良かったのだが、もし何かあったとしても俺は強いと過信をしていたことが悔やまれる。
俺と応戦している男の背後へと、次々と兵が剣を持って飛びかかるが、ことごとく弾き飛ばされる。
魔法で炎を飛ばしても、全て黒い雷に飲み込まれる。
男が強過ぎるのだ。
俺とリオ以外は、相手にならない。
男が放った黒い雷に当たって倒れる者、風圧に弾き飛ばされて建物の壁に身体を打ち付ける者、次々と戦力が削がれていく。
遂には立っているのは、リオと俺、二人の兵だけになった。
「これから遠くまで行かねばならぬのに、疲れる…。おまえ達が俺の邪魔をしないと言うなら、見逃してやってもよい」
「おまえはここで捕まえるか始末する。どこにも行かせない」
「…なぜ?北の方に、行かせたくない理由があるのか?やはり…あいつは生きているのでは…」
「違う。おまえには関係のないことだ。知らなくていい。それにおまえは、この城から出られないのだから」
俺は再び男の胸に、正面から剣を突きつける。
リオが男の背後で剣を構え、二人の兵が、それぞれ男の左右に立ち塞がる。
男が大きく息を吐いて「ああ、面倒だ」と呟くと、バチバチと音を鳴らしながら、両掌の上に大きな黒い雷を発生させた。
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