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男が両手を大きく振る。
四方八方に黒い雷が伸び、俺とリオ、二人の兵の身体を包む。
俺は、全身から炎を出して、黒い雷を弾き飛ばした。
リオと二人の兵は、剣に炎をまとわせると、円を描く様に振って黒い雷を霧散させる。
間髪入れずに次の攻撃が来た。
即座に防ぐが、徐々に押されて身体に傷が増えていく。
このままでは埒が明かない。
いずれ男は、俺達を退けてカエンがいる中央の城へ向かうかもしれない。
カエンに、気をつけるように早く伝えなければ。
「リオ!おまえはここを離れろ!そしてシアンに状況を伝えろ!注意と対策が必要だっ!」
「わかりました!アルファム様っ、お気をつけてっ!」
男の攻撃が激しく防御に必死で、思うように反撃が出来ない。
だが、何とかリオを行かせたい。
俺は、一瞬だけ防御の魔法を解くと、掌に全神経を集中させて、激しく燃え盛る炎を男に飛ばした。
飛ばすと同時に、剣を向けて突進する。
男の心臓を狙ったが、間一髪で避けられ、男の肩に剣が突き刺さった。
「リオ!早く行けっ!くそっ…!仕留めるつもりで狙ったのに、しぶとい奴だ…!」
「惜しかったなあ。あと少しズレていれば、心臓だったのに。ところで、今の奴を何処に行かせた?」
「さあ?」
「まあいいか。おまえを殺してすぐに追いかける。おまえ、立っているのも辛いだろう?」
「…ふん、俺は平気、だ…っ」
見得を切ったが、男の言う通りだ。
俺は防御を解いていた為に、全身に黒い雷を浴びてしまった。皮膚が焼けるように痛くて、本当は立っていられない。
だが両足に力を込めて、何とか踏ん張った。
せめてリオがここを離れるまで、時間を稼がなければ!
プルプルと震える足と腕に力を込めて、剣を引き抜く。
もう一度、剣を振り下ろそうとした俺の腹に、男が掌をピタリと当てる。
「ここに大きな穴を開けてやろう」
「アルファム様っ」
二人の兵が、左右から男に炎の玉をぶつけた。
男の全身が燃え上がり、よろよろと二三歩後ろに退る。
その時、リオが飛翔馬に乗って空へと翔け上がっていく姿が見えた。
こちらの様子を見て、リオが戻る素振りをする。
「アルファム様っ!」
「ここは気にするなっ!早く行けっ。命令だっ!」
「…はいっ!どうかご無事でっ…」
リオが前を向き、馬の腹を強く蹴る。
更に速度を上げて高く昇っていくリオの背中に、黒い影が走った。
刹那、リオの背中から血飛沫が飛ぶ。
「リオっっ!!」
リオの身体がふらりと揺れ、落ちそうになる。
だがすぐに上半身を倒して、馬の首にしがみついた。
そしてそのまま翔び続け、やがて姿が見えなくなった。
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