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数十人の兵が、剣を構えて俺と男を囲む。
俺は、片手を上げると「誰も手出しはするな」と命じた。
「なんだ?一人で戦うのか?見たところ、おまえはまだ子供ではないか。父親が俺に勝てなかったのだ。おまえに何ができる?無駄な抵抗は止めて、素直に俺の為に死ね」
「うるさいなあ。あんた、よく喋るね。気が小さい奴ほどよく喋るって言うけど、もしかして怖いの?」
「俺が?誰を?おまえをか?おまえは馬鹿なのか?多少の魔法が使えるみたいだが、すぐに父親と同じように焼き殺してやるわ!」
「ふーん。じゃあやってみろよ」
俺は顎を上げて、ふふんっと男を見下ろしてやる。
この男も異世界から来たからか、母さまよりは大きいけど、この世界の人間に比べると小柄だ。
だけど父さまやリオがやられるということは、小柄でもかなり魔法の力が強いのだろうな。
俺に挑発されて腹が立ったらしく、男が掌に黒い雷を出現させる。
「へえ、初めて見た。それ…意外とかっこいいね」
バチバチと掌の上で跳ねる雷が珍しく、つい声に出してしまった。
褒めたのに更に男を怒らせたらしく、男が「そうか!」と叫ぶと同時に、黒い雷を飛ばしてきた。
黒い雷は、俺の身体を包む炎に弾き飛ばされて消えた。
男が次々と雷を飛ばして来るけど、全て弾かれて消える。
明らかに余裕の無くなった様子の男が、剣のように伸ばした黒い雷の切っ先を、俺に向けて突進して来た。
さすがにあれは、身体を包む炎を突き破るだろう。
俺は、剣を引き抜くと、黒い雷の剣を払い除ける。だが剣は雷を通り抜けて、払い除けることが出来なかった。
そのまま俺の腹を貫きそうになった雷を、すんでのところで避ける。
避けた際に雷が服をかすめて、服が裂けた。
「え…すっごい切れるね。あんたのその魔法、本当にすごいよ!」
「強がらなくてもいいぞ。この黒い雷が怖いのだろう?」
「うん怖い。初めて見る魔法だしね。でも俺の魔法もすごいよ」
「あの赤い髪の男と同じ魔法だろう?もう知ってる」
「うんそうだね。でもさ、違うんだよ」
「何を言ってるのかさっぱりわからんな」
「わかった。じゃあ見せてあげるよ」
俺は、身体を包んでいた炎を消す。
そして右手に意識を集中させると、男に掌を向けた。
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