アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10
-
バカでかい門を抜け学校以上に広い敷地内を通る。家の前まで続く一本道の周りは隅々まで手入れされた庭園が広がっている
ーー「どうぞ」
車を玄関の前に止め、かちゃりと開けてくれる。
「お荷物はお部屋まで運んでおきます」
「ありがとう」
──────────────
こんなに広くある必要があるのかと思うほど長くて入り組んだ廊下を通ると二階の一番奥にお母さんの書斎がある。
いざ前に立つと体が一気に冷えていく。まるで全身が凍っていくような感じ
コンコン
「伊織です。入ってもよろしいでしょうか」
「どうぞ」
甘ったるい声がして一瞬ドアにかけた手が止まる
「失礼いたします」
ゆっくりドアを閉め振り返ると立派な椅子に腰掛けコーヒーを啜る姿があった
黒く長い髪はゆるくウェーブがかかっていて赤い唇が目立つその人はいわゆる美人なのだろう。
「随分と遅かったのですね。学校はどうでしたか?」
「お待たせして申し訳ありません。
滞りなく終わりました。お母さんもご無事のご帰国何よりです。」
ニッコリ、ゆっくりと発せられるその声は俺にとってはなによりも苦手かもしれない
「ええ、ありがとう。それで今日の分の仕事はもう終わってるのかしら?」
「はい、こちらに」
USBと他の書類を机に置く。それをゆったりめくる彼女は俺がこの家にきてからほぼ仕事をしなくなっていた。
「じゃあこちらも明日の朝までにお願いね。それとこちらも近日中に。」
なんてことない顔で異常な量を渡してくる。
「わかりました」
息が詰まりそうなこの空間から速やかに出るべく早めに挨拶をしてドアノブに手をかける
「ああ伊織、私明日からまた海外行くので新しい取引先とのお仕事もよろしくお願いしますね。」
「承知いたしました。失礼いたします。」
到底一人では不可能な量だけどこの人と同じ空間にこれ以上いたらまた余計なことを言われそうで了承して出て行く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 14