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* Scent.1 *
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『ふりん、って何? うわき、ってどういう意味? それで出来た子って、言われたの……』
ベータ同士の組み合わせではまずオメガは生まれないらしい。
授業で先生に理屈を説明してもらったが、さっぱり頭に入らなかった。
もう二度と言わないで、とその日はご飯も食べさせてくれないくらいに怒られたのだ。
だからオメガもその単語も含めて、立花は家でも外でも出来るだけ言葉を喋らなくなった。
悪意を込めていなくても、何故か他人には悪いほうに取り込まれてしまうのだ。
「……お勉強も、運動も今より頑張るから……。それでも、オメガだと……ダメなの?」
放たれた言葉は立花の心を折るには十分だった。
「オメガじゃ何をやっても無駄だな。アルファに媚びへつらう人生しか選べないからな」
「無駄……?」
「ああ、オメガに生まれてかわいそうだなぁ。立花」
──でも、オメガは運命のアルファを見つけて番うんだって、教わった。
人にだったか本で読んだかは定かではないけれど。
いくら無駄だとかわいそうだと言われても、そんな確証のない心の支えがあった。
父親と母親に生まれも存在も否定されて、もう何もかも意味はなくなってしまった。
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