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* Scent.2 *
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「はーい」と間延びした返事をする二葉に、立花はミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを手渡す。
立花より一歳年下の二葉は、今年の春から入ったアルバイトだ。
実習期間はシフトを入れていないが、学期の後半は午前の授業に出るだけでいいらしく、かなり不規則なスケジュールで働いてもらっている。
「受験勉強終わったばっかりなのに、大学入ってからも授業ばっかり……。大学って自分で授業組んだり出来るって聞いてたんですけど。一年は必修だらけでうんざりです」
文句を垂れる二葉にはきっと悪気はない。
立花が密かにこの大学を目指していたことも知らないだろうから、嫌な気分にはなっても怒る気にはなれなかった。
もし自分が大学に通わせてもらえたのなら、絶対に二葉のように不満を言ったりしない。
オメガに生まれた者が皆、不幸な生い立ちなのだと信じていたのに。
「立花さんはいいなぁ。親に認められて。僕の親なんて過保護過ぎて、何をするにも許可がいるし。門限なんてあるの絶対うちだけですよ」
「僕の家も一応門限はあるよ。家が厳しいのはそれだけ二葉君が大事だからじゃないかな」
自虐的に語る二葉が羨ましくて仕方がない。
自分の欲しているもの全てを、二葉は手に入れながら持て余している。
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