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* Scent.2 *
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明るい人柄は好きだが、それで傷ついているのも本音だった。
「もうすぐ二十歳なのに、全然自由じゃない。オメガってそういう運命なんですね」
立花にとって受け入れがたい不幸を、二葉は薄っぺらいティッシュをさらに裂いたような言葉で語る。
そうだね、と立花は無味な感想を返した。
自分の不幸を語りたい訳でもないし、価値観の違いを押しつけ合うつもりもない。
オメガという事実を両親さえ認めてくれれば、立花だって知るよしもない他人の不幸に共感はしなかったし、そこらに転がる石ころのように思うだけだったのかもしれない。
立花の淹れたコーヒーを飲み終えると、カウンターの側を通って二葉も仕事に入った。
ちょうど午前のパートと入れ替わる時間だ。
「お疲れさまです!」
「お疲れさま。真白君。今日も可愛らしい格好してるのねぇ」
「バイトで貯めたお金で買ったんです。ずっと欲しくて頑張っちゃいました」
両手を拡げてくるくると回りながら、ブランドのロゴが描かれているトレーナーを見せつけている。
素直な性格と愛くるしさは、年上の女性陣に評判だった。
立花も高校を卒業し仕事を始めた最初のうちは、綺麗や美人だと声をかけられていたが、二葉が来てからというもの、それもめっきりと減ってしまった。
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