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灰色の瞳のとら猫のお話 二巻目-7
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「…」
こういうときって、どうしたら良いのか分からない…
「あー…」
トラは、対処法を考えるが、初めての出来事でちょっと考えが追いつかない。
人が多いクラスが、トラを囲む女子の雰囲気を察して、静かになる。
少し緊張した室内で、女子が言う。
「付き合ってほしいんだけど」
トラが顔を上げて返事をしようとしたが、告白をしてきた女子は、トラと視線を合わせて更に顔を赤くした。
「へ、返事は今じゃなくていいからっ!」
「あっ…て、…えぇっ…??」
女子は、トラの表情を見るな否や弾かれたように教室を出て行った。
追いかけることもできたが、追いかけるとなると人が多すぎる。
押し倒して、後を追うわけにもいかない。
「え…」
どうしろって言うんだこの空気感…
トラは、困惑した。
「ちょっと!待って!」
教室を出て猛ダッシュしていく女子を追いかけて、囲まれていたトラは孤独になった。
「…」
これって、一体誰に相談すれば良いんだろうか…
トラは、困ってしまった。
「トラ次…お前、モテるからな」
後ろから、野球部のツヨシに、何か分からないフォローをされる。
「そーそー。お前、もてるからなー」
隣の席のショウゴも近づいてくる。
「そうなの?」
トラに自覚は無い。
「そうだよ。しらねぇの?」
さも当然のように、肩を組まれる。
「知るわけねぇだろ」
ショウゴとツヨシにニヤニヤと揶揄われているトラは、かなり困惑している。
「斉藤サンは、可愛いしねぇ〜…付き合うの?」
尋問される。
「…んーわかんない」
トラは、正直に答える。
「付き合っちゃえよ」
付き合うかぁ…
と、トラは思いを巡らせる。だが、トラの頭の中には、答えが無い。
クラスメイトがトラの話に聞き耳を立てている。
ツヨシとショウゴは、揶揄う良いネタが出来たと思っているのだろう。
人の不幸を喜んでいるかのように、気味の悪いニヤニヤとした笑みを浮かべて、トラに纏わり付いてくる。
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