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「お前の骨は俺達みんなで拾ってやっからな」
「忘れてなかったら皆で墓参りにも行ってやるから」
「お前は1人じゃない、俺達皆がついてる」
「だから安心してくたばってこい」
…………………。
これは…、前向きな意味に捉えておいてもいいんだろうか。
普段あまり仲良くない奴等まで同情たっぷり、俺にうるうるな瞳を寄越してくる。
しかしその顔の裏に、
あほだなこいつww
何やらかしたんだwww
という思いも見受けられなくもないがな。
や、ほぼ本心はそっちか。
間違いなく面白がってる。
そんなクラスメイトをジロリと睨む真弓の姿に、まずいと慌てふためくが時既に遅し。
「お前ら不謹慎な事言うなよ。まだボコられるなんて決まってねぇんだから。祐介を不安にさせるような事言うな、……俺の大切な友達をバカにするような真似、…………バカにするような…っ、」
ゴゴゴゴゴゴ…、とどこからともなく不吉な音が聞こえたような気がした。
この前兆とも言えるべき空気を既に体感している皆が瞬時に俺からサッと距離を取る。
俺は咄嗟にその腕を掴んだ。
「ま、真弓!落ち着け、な?皆はただ俺を心配してるだけなんだから!」
「祐介をバカにするな。特に竹内、お前今度祐介に掃除当番押し付けたらぶっ殺してやるからな」
あら、それ知られてたんだ。
真弓がいない時にしか俺に接触してこない竹内が、1人遠くにいながらも青ざめた顔でコクコクと頭を縦に振っている。
まぁ、これは感謝しておこうか。
本当にうざかったからな、竹内のバカは。
ありがとう真弓くん。
そんなこんなで魔神化をなんとか阻止し、間違いなくまためんどくさい時間になるんであろう昼休みがあっという間に到来した。
「本当に1人で大丈夫なんだな?」
「大丈夫大丈夫、そんな心配そうな顔するなよ」
「もしリンチなんてされたら後から俺が報復に、」
「それはない」
むしろまだリンチの方が救われたかも知れない、なんてチキンのこの俺がそう思う程になんか色々めんどくさい展開になっていた。
呼び出しに応じるべく教室から出ようとする俺の背中には、クラス全員の哀れんだ視線。
それをしっかり背負いながら、まだ着いてこようと食い下がる真弓を振り切り、俺は1人戦場へと足を向けた。
「はぁ…」
口からはもうため息しか出ない。
昼休みのチャイムから十分は経っただろうか。
屋上へと続く扉を目の前に、俺はしばらく動けないままでいた。
開けたらなんかもう、こっちの世界に戻って来れなくなるような、そんな変な錯覚にすら陥りそうになる。
魔界だ、この扉は魔界へと通じる地獄の扉だ。
向こうには非日常的な世界が広がっているに違いない。
そんな最悪な扉をすんなり開けられるヤツがいるなら是非ともお目にかかりたいよ。
「行くぞ」
しかし何者かによってその重い扉がいとも簡単に開かれる。
「………………え?」
ギィギィと錆び付いた扉が不気味な音をあげ、そして扉は完全に開かれた。
そう、無駄に熱い男によって。
「ま、真弓!?お前何で、ちょ、待てって!」
「たのもう!!!」
「ぶっ」
たのもう!!??
なにそのいつの時代の人間!?てゆうセリフ。
てか思いっきり喧嘩腰じゃんかよ!
みろ、いきなりの部外者乱入、しかも仁王立ちで喧嘩腰なもんだからヤンキー軍団の眼がギラッギラと眩く光ってんじゃねーか!
見渡す限りの金髪、ハゲ、ドレッド、その他如何様な髪型をした野犬共。
くらくらと目眩がするのを何とかこらえ、ガクブルしながらも俺は真弓の腕を力の限り引っ張った。
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