アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
20
-
_思ったよりいい物件があったからすぐに内見をお願いしてもう契約を決めた。
これで、本当に家を出る準備が整った。
_これで良かったのかな。
もう1回ちゃんと先輩と話すれば…
…そんなことを考えた僕が馬鹿だった。
不動産屋から家への…“まだ”僕達2人の家への帰り道の事だった。
信号待ちをしていたら美男美女カップルが向こうにいて、僕も女性であんなふうに綺麗だったらもっと先輩と…なんて考えてた。
だけどもう一度よく見たら、、、
その美男美女カップルは先輩とみれいさんで。
_2人をみて羨ましがった時点で僕はもうみれいさんに勝てるわけがなかった。
いや、元々同じ土俵ですらなかったんだ_
信号が赤から青に変わり、2人とすれ違う。
僕はバレないように息を潜めて。
だけど2人は全く気づくことも無く、腕を組んで人混みの中に消えていった。
それからのことはあまり詳しく覚えてない。
だけど家に着いて、部屋に入った途端。
目が落ちてしまうほど泣いた。
「先輩、ッ…」
…好き。
先輩の声が好き、先輩の優しいとこが好き、先輩の全てが好き。
先輩が僕の全てだったのに…先輩が居なくなったら僕は、どうやって生きればいい?どうやって息すればいい?
そもそも先輩のいない人生なんて価値があるの?
…分からない。
だけど、たったひとつ確かなことは…
僕にとって先輩は
ただ1人の
ヒーローだったんだ_
__まだ赤ちゃんだった頃、親に捨てられ施設に入れられた。
名前も顔も知らない親の何を継いだのか、昔から人より異常に肌が青白くどれだけ外で遊ぼうが肌は一向に焼けなかった。
そんな僕を施設の大人は気味が悪いと嫌い、そんな空気が子供にも伝わり同じ施設にいた同じくらいの子たち全員、僕の近くによることすら無かった。
暴力は無かった。大事になりたくなかったんだろう。
でも、ここにいること自体を否定されてる感じ。
…辛かったなあ。
そんな生活を続けていくうち僕は、誰にも心を開かず、気を許さずに生きることが普通となっていた。
そんな僕を変えてくれたのは先輩だった。
特にこれといったことも無く施設から近いからという理由だけで高校を決めた僕は、部活なんて興味なかった。
むしろあの頃の僕は、周りの人が何かに必死になっている姿が眩しくて、そして憎らしかった。
だけど、1年は部活は入らなくてもいいが見学は行かないといけないとかいう意味不明な規則のせいで行きたくもない部活見学に行った時…弓を引いている先輩の姿を一目見て雷が落ちた。
体格はとても男らしいのに、弓を引いている姿は可憐で…綺麗だった。
“この人ともっと_”
そんな感情を初めて持った。
そして僕はあんなに嫌だった部活動に参加することに決めた。
その部活で先輩を好きになり…先輩と思い合い…
その結果がこれだ。
僕が部活になんて入らなければ。
そもそも弓道部なんて見に行かなければ。
あの学校に入っていなければ。
…こんなに傷つくことは無かったかもしれない。
_でも、それでも。
「僕は…今を選ぶんだろうな」
どれだけ泣き腫らしたとしても、先輩と出会えないことは今よりもっと辛いから。
僕の全ては先輩で。
そんな先輩が…今はもう他を見ている。
それなら僕は…。
本音を言うなら、もう一度こっちを見てほしい。
また僕を好きになって欲しい。
また…愛して欲しい。
だけど、そう人生は上手くいかないことはこれまでの人生で思い知ってる。
だから僕は、もう一度こっちを見てほしいなんて言わない。
そんなわがままが許されるのは小学生まで。
僕はもう大人だから。
自分で自分の道を選ぶことが出来る大人だから。
自立することの出来る大人だから。
…好きな人の幸せを優先するよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 102