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完結後の世界 =3(はじめの一歩①)
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翔太side
ガチャと扉がしまったのを呆然と見ていた。
ああもう、彼は本当に好きな相手を見つけてしまった。
俺だけ置いてけぼりだ。
だけど、この数日より気分がいい。
心が軽くなった。
それは初めて俺たちが本音を言い合ったからだとしたら、今までの俺たちはどれほど滑稽だったのだろうか。
けど、そんなことはどうだっていいんだ。
今思うのはただ1つ。
「…幸せに、なって欲しい」
ああそうか、あの時お前もこんな気持ちだったのか。
机の上に置かれた、真っ白の手紙。
真っ白で、純粋で、儚い。
まるで、蒼太みたいだ。
携帯を遡り、もう奥の方に行ってしまった彼を見つけると、一言、「愛していました」と送信したあと連絡先を消した。
できることなら、このメッセージに気付きませんように。
できることなら、彼がはじめの一歩を踏み出せていますように。
_そんなこんなで数週間たった。
今は仲間に誘われて嫌々、暫くぶりの合コンに参加している。
「翔太くんってモテそうだよね〜?」
どこかで聞いたようなセリフ。
「ううん、モテないよ」
「うっそだ〜!!めっちゃ可愛い彼女とか居ないの?」
彼女…か。
「いない…けど、大切なやつならいる」
あの時もこうやって答えれば良かったんだ。
「それって…好き、じゃないの?」
「どうだろうな…その人はもう他の相手を見つけたから…それも浮気ばっかりしてた俺のせいなんだけど」
「…地雷、だった?ごめん…」
申し訳なさそうに謝る、名前も知らない女。
その顔を見て、ここは合コンだった、盛り下げては行けないと思い出した。
「別に君は悪くないよ」
そう言うと、立ち上がりもう帰ろうとお金だけ置いて店を出た。
外の空気は気持ちいい。頭が冷えていく。
「…二兎追うものは一兎も得ず」
きっと心のどこかで2人共を独占した気になっていた。
駅に着いたはいいものの、電車に乗る気になれずベンチに腰かける。
それと同時に眠気が襲ってきて、漫画ならヒロインが起こしてくれるのに…とか馬鹿なこと考えながら目を閉じた。
「…………き……おき…………起きてください」
体を揺すられ、目を開けると、目の前には…
「………そう、た…?」
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