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完結後の世界 =5(真相)
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蒼太side
「 ねぇねぇ2人って本当に付き合ったのかな!」
「…さあな。本人たちに聞いてみればいいんじゃね?」
「そうだよ〜♪それが一番早い♪」
「そんなケチ臭いこと言わないでよ〜、あっ!」
今日、彰さんと一緒に帰りたいな…って思って院長室に来てみたけど…
「……3人とも、そこで何してるの?」
何故か院長室の前で聞き耳を立てるように座っている3人。
「蒼太くん!これは嘘つかないで言ってほしいんだけど…」
「う、うん…?」
神妙な顔つきで聞いてくる中畑さん。
な、何かしちゃったかな…
なんて思ったのもつかの間。
「蒼太くんって…本当に院長と付き合ってるの?!!」
「…は、はいぃ……?」
==
「え、っとつまり…3人は僕の一世一代のあの告白を聞いてたと…?」
「まあそういうことだな」
「そういうことよね」
「そーゆーこと♪」
「いやそんな自慢げに言うことじゃないですよ……」
恥ずかしさと、気まずさと、なんとも言えないような感情が入り交じって怒る気にもなれなかった。
「それでそれで結局どうなの?!」
キラキラな目で楽しそうに聞いてくる中畑さんの圧に僕の体は耐えきれず、遂に言ってしまった。
まあ別に言うなとか言われてたわけじゃないけど…でも、なんか…2人だけの秘密、みたいな感じが…ちょっと嬉しいっていうか、なんていうか…小っ恥ずかしい感じが好きだった…
…まあ、もう?別に?いいですけど?
「…はい」
「きゃぁああ!!!やっぱり?やっぱり?!!院長ってかっこいいでしょ?なのにこれまで浮いた話全然なかったからさ、ちょっと心配してたんだけど…そっか、そっか!!院長は蒼太くんみたいな純情系が好きだったか…」
「おい愛美…お前…あいつが好きとか言わねえよな?な?」
「圭人うるさい、私の院長への好きは尊敬なの!それにもし私が院長を好きだったとして蒼太くんから奪うなんて出来るわけないじゃん」
「な、ならいいけどさ…」
「圭人くん、そんな束縛男は嫌われるよ〜♪」
「悠さん…悠さんにまでそんなこと言われたら俺どうすりゃいいんすか」
「もうちょっと愛美ちゃんを自由に♪」
「そうそう!!悠さんもっと言っちゃってください!!」
「愛美は黙ってろ」
「なっ!!あーあーそういう態度とるんですねー!あーそうですか!そうですか!もう私蒼太くんと居るし!!!」
「えっ」
急に飛び火が…
「おい風上ぃいい!!!!なに愛美の腕触ってんだよ!!!離れろ!!!」
「いやいや僕、触ってませんって!!」
「蒼太くん!こんな奴の言うこと無視していいからね!!」
「いや、その……」
僕、彰さんと一緒に帰りたいだけなんだけど…
「まあまあその辺にしといたら〜♪ 蒼太ちゃん困ってるし♪」
「前川さん……」
この時ばかりは前川さんが女神に見えた。
この2人の板挟みになるの本当疲れるの…
「……さっきからうるさいぞ」
いつの間にか院長室から出てきていた彰さんは、一際低い声で怒鳴るように喋った。
「ひっ……院長、これは…」
「全部、圭人のせいでーす」
「異議なし♪」
「…………」
怯える西堂さんと他人事のように話す中畑さんと前川さん。
その横で縮こまってる僕…。
「…はぁ。とりあえず蒼太は返してもらうけど」
「、ぅえ….!!!!!!」
突然、腕に引き寄せられたかと思うとそのまま僕を抱き込むように背中に腕を回された。
「あ、あ、あ、あの……彰さん、?」
情けないくらいに体温が上がっていくのがわかった。
「きゃぁああ!!!ラブラブじゃん!!!」
「院長…」
「………………」
3人の反応はそれぞれで。
すぐに茶化してきそうな前川さんが静かだったのは気になったけど…
そんなことより今、彰さんの腕に抱かれてることが頭を支配した。
==
彰side
「…良かったね、彰」
その後、中畑と西堂に絡まれている蒼太を助けようかどうか迷っていると、腐れ縁の彼_悠にそう声をかけられた。
こいつがおちゃらけた話し方で喋らないのは久しぶりだ。
「ああ」
「…俺、これでもさお前のこと心配してたんだよ。お前は俺と違って…いや、この話はいいか。とりあえず、おめでとう。幸せにな」
今は何だかあの淡い青春時代に戻ったようだった。
2人で屋上に駆け上がって、
ただその時を楽しんだ、
あの青春時代に。
「今度はお前の番だな」
「…誰かいい人居るかなー?♪」
「…………いつか、この人だって思える人が現れるさ」
_悠はただひたすらに家庭が厳しかった。
中でも父親が完璧主義者で、悠にも完璧を求めた。
例をあげるなら成績。
中学に入り成績が下がった悠は、英語と数学で4をとった。
それだけ、たったそれだけで、殴られ蹴られ、吐いてもお構い無しが続いた。
それは父親が死ぬまで。
高校時代、父親が亡くなってから悠はストッパーが外れたのか、かしこまった格好も言葉遣いも家族も全部捨てた_
「…悠、家族とは連絡とってるか」
「するわけないよね♪」
「そうか…」
まだこいつが家族と和解するのは先らしい。
「あ、彰さん……」
ふと顔を上げると助けを求めるようにこちらを見る蒼太の姿が。
その姿が愛らしくて、少し笑った。
「中畑ー、西堂ー、そこまでだ」
「ええー!!もっと蒼太くんとお喋りしたいのに!」
「お喋りってか一方的に愛美が詰め寄ってただけじゃ」
「はいはい、蒼太は俺と帰るの」
俺は颯爽と蒼太を攫うと、病院の鍵締め等を全部西堂に任せて病院を出た。
「あの彰さん…勝手に出てきてよかったの?」
「まあ、あいつらならなんとかやってくれるでしょ」
「信頼、してるんですね」
「一応な」
_笑いあって、好きあって、こんな日々も良い青春かもしれない。
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