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完結後の世界 =8(不器用な愛②)
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そして当日_
「ちゃんと準備してきた?」
「もうバッチリです!!」
日帰りだけど故郷を出て初めての帰省に少し憂鬱で…
だけど隣に彰さんが居るならなんでも頑張れそう。
「蒼太の故郷って結構遠いの?」
「え、うーん電車だと3時間…とかだから結構遠いかも」
「かも、じゃなくてそれ遠いから。まぁゆったり景色でも見て癒されようかな」
_その後、彰さんは日頃の疲れが溜まっていたのか、のどかな風景を見る前に寝てしまってその頭がコツンと肩に触れた。
「!………お疲れ様、先生」
彰さんを起こさないようピシッと前を向いていたはずなのにいつの間にか僕も彰さんに体重を傾け、すやすやと眠りに落ちていた。
「おーい、もうすぐ着くぞ」
「ん……んぅ?彰さん…?」
「ほら、綺麗だぞ」
肩をポンポンと叩かれ、彰さんの指さした方に目を向けると
「………うわぁ!!!!ほんとだ!!」
電車の中から見える風景は、1つ瞬きすると見逃してしまいそうだけどそれがまた旅の儚さを増していた。
「…ねぇ、彰さん」
「ん?」
「好きですよ」
「突然どうしたの?」
「いえ…ただ言いたくなって」
「そっか、降りる準備は出来た?」
「はい!」
今では珍しいボロボロの駅。
改札も殆ど機能していないも等しい。
そんな故郷。
「よし、じゃあ案内お願いしようかな?」
「任せてください!!」
手を繋いで、周りは田んぼだらけの道を歩く。
まるで世界に僕達しかいないみたい。
「あ、あそこです」
しばらく歩くと田んぼだらけから抜けて、少しコンクリートの建物がある都心に出た。
その中でも一際派手に装飾された古い建物がある。
それが僕の育った場所_
「ここか…」
「はい、中は古びた倉庫のような場所ですけどね」
あぁ懐かしい。
懐かしくて、辛い。
「…っ、施設長に会いに行きましょうか」
無理に口角を上げて話してみたけど、彰さんには分かっていたみたいでぽんと頭を撫でられた。
「無理は禁物だよ」
「すみません…あまり、良い思い出がなくて」
「…でも、今日は良い日になるかもしれないよ」
「ですね」
もし、本当に僕のことを思ってしてくれてたなら…
今までのことも全て、そうだったんだとしたら
僕は…
「ねぇねぇお兄ちゃんたちだーれ?」
施設に入ろうとチャイムを鳴らしかけたその時、後ろから男の子に声をかけられた。
「お兄さん達はね、施設長に会いに来たんだよ」
彰さんが小さい子に目線を合わせてしゃがんでそう言う。
「しせつちょー…?」
まだ、この子には施設長の意味がわからないみたいで少し頭をこてんとした。
「んー…ここで一番偉い人かな」
「あ!せんせーのこと?」
「そうそう」
「ボクもね、せんせーに会いに来たの!ママからこれ渡しなさいって言われて」
その子が持っているのはノートのようなもの。
きっと連絡帳だ。
僕には必要のなかったものだけど…
「…そっか、じゃあ一緒に入ろうか」
「うん!」
===
皆様、明けましておめでとう御座います!
2020年は色々と日常が変わってしまった年でしたけれど、如何お過ごしでしょうか?
この小説を読んでいる方々に笑顔を届けられていたら幸いです。
最近は投稿ペースが落ちてしまって申し訳ないです。
隙を見て書いているつもりなのですが中々次の展開を想像できなくて…
でもまだ書きたいことはいっぱいあるのでスローペースではありますが、これからも楽しんでいただければと思います。
これを読んでいる皆様の2021年が良いお年になりますように。
作者
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