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金色の瞳のチェシャ猫のお話8
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「チェシャっ!」
逸る気持ちを抑えられず、部屋の襖を力強く開けてしまう。
「…チェシャ…」
布団に寝かされていると言われたチェシャは、布団の中でうずくまっていた。
「大丈夫ですよ」
天花は近づいていって、布団の上からチェシャを撫でた。触れた直後は、ビクッと背を振るわせていたが、撫でていくうち徐々に氷が溶けるように山盛りの布団が小さくなっていった。
「美雪…」
布団の端から、細い指が覗いた。
「はい」
その手にそっと手を重ねようとして近づけた瞬間、手首をしっかり掴まれる。
「んっ…!?」
ばさっと、布団が勢いよく落ちると、手首を強く捕まれ引き寄せられるとキスをされる。
「…はぁ…」
熱っぽいため息をついて、潤んだ瞳で天花を見る。
「…冷えるんだ…すごく寒い…」
チェシャのこれは、発作のようなものだ。
チェシャ曰く、人の感情や思いや過去が過剰に頭の中に入ってくるんだそうで、毎回というわけではないらしい。例えるなら、アレルギーを持っているのにそれを口にしてしまう時のような感覚なんだそうだ。言うなれば人のアレルギーなのかもしれないと天花は思う。
食べ物のアレルギーなら、薬や医者に行けば対応できるだろうが、人のアレルギーだった場合、対処はどうすればいいのかは、よくわからない。特に、チェシャのように特殊な性質を持っていると特に…チェシャがこうなるのは、初めてではない。
「そうか…」
チェシャは、他人のぬくもりを求めている。
「美雪…さむ…っ!」
チェシャは、天花の後頭部を掴み唇に噛み付いた。
「んぅっ!?」
貪るように舌を絡ませる。
チェシャが強引にキスをしていたが、だんだんと痺れて力が抜けていく。
「んぁっ、んぁ…んんっ、ん、んっ」
チェシャの頭の芯がジンと痺れて、呼吸が奪われていく。
「…はぁっ」
軟体動物のセックスのような激しいキスの後、唇を放す。
「許せチェシャ」
チェシャはするすると布団の上にへたり込んだ。
「戻る」
天花は、後ろ髪を引かれながら、チェシャの前から離れていった。廊下を天花がドスドスと歩いて遠ざかっていく音が聞こえた。
「…」
部屋には、チェシャだけが残された。
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