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第15章ー10 戦線離脱
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ひどい目に遭うとはこういうことだ。
「ッ……」
ベッドで横になっていても、少し動くだけで激痛が走る。
一人での生活は無理。
結局。
痛みでほぼ動けず、ものすごい時間をかけて車に乗り込み、実家まで運ばれた。
事前に連絡をしていたおかげで母親が待っていたが、彼女もどうすることもできない。
二階に上がることも出来ず、一階にあった父親の使っていたベッドに横になったものの、痛みがひどくて眠ることなんてできない。
食べたり飲んだりする気力もなく、トイレに行くのも大仕事だ。
「なんて様だ……」
がっかりする。
明日から、関口圭一郎たちが来日をして、本番に向けた追い込み時期なのに。
こんな忙しい時期に、自分で動けないなんて、本当にきつい。
精神的な焦りや落胆が、痛みに拍車をかけるのかも知れない。
痛み止めは、飲み薬では到底追いつかず、座薬も使いながらだ。
6時間はきくと言っていたのに。
数時間もすれば、すぐに痛みが出てくる。
「田口に鍛えておくようにと言われたのに。自業自得だな……」
『また来ます』
彼は、そう言って帰っていった。
「また、あいつに迷惑ばかりか」
情けないことばかり。
いい加減、自分のことを見直さないと……そう思いつつ、痛みがひどすぎる。
涙が出てくる。
まとまった睡眠がとれない分、こうして気を抜くとうとうとするのだ。
早く治さなくては。
そんな焦りばかりが胸をいっぱいにしていた。
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