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「あ~…。校舎裏。」
(ぶっちゃけ、校舎裏・体育館裏・屋上の三択にするのやめてくれ…。列か束になって来い。)
嶋は静かに目を伏せる。…そんな様子を知らない木津が、やっぱり、と小さく飛び跳ねる。
「嶋ばっかりズルいよ~。で、今は誰と付き合ってんの!?」
「…付き合っている奴なんて、いねぇよ。」
しれっと答える嶋に、モテないーズは素っ頓狂な叫びをあげる。
「何で付き合わねぇんだよ、このタコ‼」
「もったいないよぉ~。その内、枯れちゃうよぉ~??」
「うるせぇな。…声をかけてくる奴みんな、オレのタイプじゃねぇんだよ。」
靴をひっかけるようにして履き、嶋は一人歩き出す。
「おい、早く来いよ。」
「ま、待ってよ、嶋ぁ~‼怒らないでよ~‼」
「おい、智明‼お前、手紙どれか一通寄越せ‼断る奴の‼俺が代わりに彼女の傷を癒す‼」
二人が息を切らしてやって来る。嶋はふわっと笑ってみせた。
「…おい、やめとけ良太。そういう輩は、女子が一番の天敵だと思っている奴だからな??」
「で、いつうちに来るの??」
始業式の前日。そこまで来て、音沙汰のない紫に、生粋のα男子は油断していた。が、HR三分前。気づけば嶋の前に、宿敵はいつの間にか前席を陣取ってこちらに話しかけていた。
嶋は口元を指でひっかき、おそるおそる訊く。
「…ど、どうしても行かなきゃ、ダメか??」
何言ってんの、と紫は腰に両手をあてる。
「クラスメート全員の前で賭けたでしょう。何、君。賭けを無効にする気??チキンなの??」
かちんときて、嶋はぶっきらぼうに答える。
「はいはい、そうですね‼…荷物は、その、八月に入ってからでも。」
不意に、紫の小綺麗な顔が近づいて来て、α男子は咄嗟に首を竦めた。耳元でそっと紫が呟く。
「…負けるのが、怖いんだ??」
思わず席を立ってしまう。…どこか頭の片隅で、『短絡思考‼』と自分を詰る声が聞こえてきた。
「おっし…。じゃあ、明日には荷物持ってお前ン家に行ってやるよ。そんなに恋しいんならな。ええ??」
どうだ、と見つめ返してやると…紫は目を丸くしていた。
(…んん~!?)
何だそのリアクション、と思っていると遠くから市川に呼びかけられて双方我に返る。紫が慌てて、相手から身を引く。
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