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言いかけた市川の後頭部を、嶋が手持ちの薄い鞄の角で殴る。
「痛ぁ~っ‼」
飛んで後退する市川に、冷静なツッコミが重なる。
「お前、他に考えることねぇのか…。」
「今のは正当な教育的指導、と第三者の立場から審判を下します。」
市川に容赦のない二人だった。…高校生男子からエロを抜いてみろ何も残らねぇだろ、と悪態をつきながら渋々市川も話に加わる。
「…まあ、でもぉ??紫が賭けのルールを話し出した時は、何か怪しかったけどな。」
「怪しいって、どこが??」
嶋も考え直してみるが、気になる挙動はない。腕組みして、一声唸ると市川は流暢に話し出す。
「妊娠したら負けってあいつは言っていたろう??Ω側からしてみりゃ、妊娠を条件に出すなんてとんでもなくリスキーに見えるけどな。…紫の奴、智明との子を持ちたいんじゃね??」
市川に言われて、改めて思い返す。
『…夏休みが終わるまでに、僕が妊娠していたら君の負け。僕が妊娠していなかったら、君の勝ち。』
…確かに、紫はそう言っていた。思い出した嶋は、急いで反論する。
「け、けどさ??紫はその後で、オレの前でこうも言っている。“オレと番になる気はない”。それに、言い間違いなんてよくあるだろう??紫は、絶対オレに抱かれるつもりはないから“妊娠”なんて単語を平気で出せるんだよ。」
焦る嶋に、市川は不満があるらしい。
「…なら、何で紫は智明に賭けを吹っ掛けてきたんだよ。」
嶋は深々と頭を垂れた。
「わっかんねぇよ。αのオレが、Ωの野郎一人抱けないチキンだって宣伝したいんじゃねぇの??」
苦し気な友達を見かねてか、木津はぽつんと呟く。
「それはないよ。何故なら、嶋はたくさんの女子から引く手数多なのに誰の手もとらない、元から唐変木って思われているし。」
「…木津、さらっと友達の胸を抉る発言を投げかけてくるんじゃないよ。」
「同性を抱けないってなったら、むしろ更に女子生徒からの株が上がるんじゃない??浮気の心配が二分の一になるだろう!?」
嶋は脳内で、『紫を押し倒して、一泡吹かせる』か『紫の純潔を守って、女子にキャアキャア騒がれるか』を天秤にかけて…頭を抱える。
「好奇心で、好みの男にヤラれたいって可能性も無視は出来ないよね。…でも、そんなの初日の食事に媚薬混ぜて食べさせれば、一発なのに。嶋の性格だから、昨夜は何の疑いもせずにおかわりまでしたんでしょう??」
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