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「そっ。店の前で大和にも会ってさ~。」
「え。木津もいんのか??」
クラスのα三人組が、偶々コンビニに集まったらしい。棚の間を縫うようにして、二人は出会う。
「大和は今、商品をレジに持っていってる。」
「へぇ~。オレ、紫ちゃんと一緒に来てたんだよ。紫ちゃんも、今頃木津と会ってんのかな。」
「あ~…。」
紫の名前を出すと、市川は何か思い出したかの如く、目を丸くする。
「…そういやさ、智明。」
「ん??何だよ。」
市川は、柄にもなく俯くと低く唸った。
「…お前、“あのこと”まだ気にしてんの??」
「…。」
嶋はふいと顔を背け、小さく頷く。
「…忘れられるわけ、ねぇだろ。オレは、一生背負っていくつもりだ。」
市川は複雑な表情で、後ろ頭に手を持っていく。
「気にすんな、なんて偉そうに御託並べられる人間じゃ俺もねぇけどよ…。」
水臭ぇじゃん、と市川は小さく震えながら言い放つ。
「俺とお前の仲だろ。小学校からずっと一緒にいたじゃねぇか。…何でも話してくれよ。そりゃ、大和は高校入ってからつるんだから話しにくいってのはあるかもしんねぇし。俺も、きっと大和だって…そこら辺は心得ていると思うから…。」
市川は無理に明るく笑い飛ばして、嶋の肩をバンバン叩く。
「だって、俺ら17だぜ??“3O”が大事なお年頃だよ‼だから…。」
市川は言葉を失って、やがてぽつりと呟く。
「…女っ気がなさすぎるよ、お前。やっぱ不安になる。もう、俺と大和だけの問題じゃない。おじさんやおばさんがこのことを知ったら…。」
「二人とも、知らねぇよ。」
嶋の答えに、市川は顔色を曇らせた。何とも言えない悲壮感が、市川の瞳に垣間見えた。
「…オヤジやおふくろは、知らなくていい。これは、オレなりのケジメだから。」
毅然とした態度をする嶋に、幼馴染は閉口する。さて、と嶋は周囲を見渡す。棚と棚の間。レジ前に、木津と紫の滅多に見られない組み合わせがいた。
「おっ、いたいた。紫ちゃ…。」
近づきながら名を呼ぶが、紫は同居人に気がつかない。代わりに、二人の会話がうっすらと聞こえてくる。
「…っぱり…メガは、綺麗…ね。」
嶋が真っ先に気がついたのは、二人の距離だった。肩が触れ合いそうな近さで喋っている。
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