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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?15
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男がやんわりとそう言えば、デイガーは、これは失礼を致しました、と詫びるように軽く頭を下げてよこした。しかし、すぐに顔を上げて、今度は男の身体を透かすように、見えない筈のその後ろへと視線を投げる。
「ところで、ロストさんの後ろにいらっしゃるそちらのお方は?」
男の背に隠されたままぼんやりとしていた少年は、急に自分が話題に上がったことに驚いて、びくりと肩を揺らした。と、後ろ手に男の手が伸びてきて、少年は腕を掴まれた。急なことに、他者との接触が極端に苦手な少年は先程よりも大きく肩をびくつかせたが、男が掴んだ腕を離す様子はなく、寧ろしっかりとした力で引き寄せられてしまう。体格差も相まってか逆らうこともできず、男の背にぶつかるようにして押し付けられると、癖毛が頬を擽る感触と同時に、触れたところから男の高い体温が伝わってきた。慣れない他人の温度に酷く居心地が悪い気分になった少年は思わず顔を上げたが、当然ながら見えるのはくすんだ炎のような髪の毛ばかりで、何を察することもできない。と、そこでふと少年は疑問に思う。
(あれ? この人の髪の色なんて、初めて見えた気がするけど……)
こんな赤茶けた色をしているんだな、と思いつつ何度か瞬きをすると、不思議なことに先程まで知覚できていた色彩はすっかり失せ、また薄曇りに覆われたように何も判らなくなってしまった。まるで、霞が一瞬だけ風で吹き飛ばされたようだ。多少は不思議に思った少年であったが、特別気になるということもなかったので、それ以上思考することはなかった。
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