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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の一手5
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そんなやり取りをしている間にも、レクシリアが空けた穴は徐々に広がっていく。少しじれったくなるくらいの速度だが、これくらい慎重にやらねば結界を張った相手に感づかれる可能性があるので、仕方がない。
それなりの時間をかけて、自分たちが通れるくらいの穴になったところで、レクシリアがそれ以上の拡大を止めるよう精霊に指示を出す。
「よし。進め、ライガ」
命じられたライデンが、水の膜に覆われた穴をするりとすり抜け再び駆ける。
「グレイ、方角は?」
レクシリアの声に、グレイが袖をまくって腕を見る。そこには、赤い石の嵌まった金属製の腕輪が着けられていた。そしてその赤い石からは、とある方向に向かって、指の長さほどの一筋の光が出ている。
光の指し示す方角を確かめてから、それと同じ方をグレイの指が示す。
「あっちですね」
頷いたレクシリアが、鬣に覆われたライデンの首を軽く叩いた。
「結界に触れないように気をつけながら、できるだけ上空を飛んでくれ」
小さく吠えて了承したライデンが、高度を上げた。暫くの間グレイの誘導に従って大人しく進んでいたライデンだったが、首都の中心に近づいてきたあたりで、急に鬣を逆立ててぐるぐると低く唸り出した。同時に、鬣からばちばちと小さく雷が弾ける。
「……ライガが警戒していますね」
グレイの言う通り、これはライデンが危険を察知したときに見せる反応だ。
「この先に何かいるな」
ライデンに倣い、二人も注意深く周囲を探りながら先へと進む。そして見えてきた光景に、レクシリアとグレイは目を見開くのだった。
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