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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流4
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そんなことをしていると、不意に王が少年に向けていた視線を空へと上げた。少年も釣られて王が向いた方へと目をやると、雷色の毛をした獣が空から滑り降りてくるのが見えた。
そのまま王と少年の近くに着地した獣の背から、淡い金髪の男と黒紫の髪の青年が飛び降りてこちらへとやって来る。
見知らぬ人物に思わず身体を固くした少年の頭を、王が宥めるように優しく撫でた。そして、向かって来る二人を見て口を開く。
「ご苦労だった、レクシィ、グレイ。お陰で街への危害を最小限に留めることができた」
そう、騎獣に乗ってやって来たのは、レクシリア宰相とグレイだった。
ひらりと手を振った王に深々と頭を下げてから、レクシリアがつかつかと歩み寄ってくる。しかし、グレイの方は動く様子がなく、彼は王の傍らの少年を見て何故か驚いた表情をしていた。
「……ち、ちよ、」
「ロステアール国王陛下!」
何かを言いかけたグレイだったが、レクシリアの強い声がそれを遮った。
「そう大声を出さずとも聞こえている。ほら、キョウヤが怯えてしまっているだろうに。大丈夫だぞ、キョウヤ。少しばかり小言がうるさい男ではあるが、怖がることはない」
「は、はぁ」
大声は苦手なので少しばかりびくっとしてしまったが、王が言うほど怯えていたわけではない。
「なんですかこの腕は! 何故グランデル国王ともあろうお方が火傷など負うのです!」
「いやあ、まあ、色々とあってな」
「大切なお身体だということをもっとご自覚くださいませ!」
「判った判った。判ったから、会ってそうそう説教をするな」
困った顔をして見せた王に、レクシリアが一瞬眉を吊り上げた。尤も、すぐにその表情は元の温和そうなものに戻ったが。
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