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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流7
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「テメェ! ふざけんのも大概にしやがれポンコツ!」
「一国の王にポンコツはないだろう」
「うるせェ! テメェなんぞポンコツで十分だこの馬鹿王! テメェが考えなしにぶっ放した極限魔法の処理するためにリーアさんがどんだけ危険なことしたと思ってんだ! この人の魔力もうほとんどスッカラカンなんだぞ! そんな状態でよくも魔力消費の激しい回復魔法使えだなんて言えたもんだな!」
グレイの叫びに、しかし王はきょとんと首を傾げた。
「危険と言うが、お前が魔術で管理をしていたのだろう? ならば危険などないだろうに」
「~~っ、このっ……!」
こういうところが厄介なのだ、この王は。この、完全にグレイを信用しきっているからこそ出した指示だという態度が、心底腹立たしい。その信用が、王の正当な評価の元に成り立っているものであるというのも、悔しいところである。そして、それを正しく理解しているからこそ。王が言うのならばそれが真理であると知っているからこそ。魔術師として真に優れていると認められることを喜ばざるを得ない自分に、腹が立って仕方がない。
天ヶ谷グレイは一切の欲目なしに至極優秀な魔術師であるからこそ此度の一件を任せたのだ、と。他でもないこの王にそう言われてしまえば、引き下がらざるを得ないのだ。
しかし、自分のことは良いにしても、レクシリアの件はまた話が別である。
「リーアさんの魔力が底をつきかけてるのは事実なんだから、これ以上無茶させるわけには、」
「グレイ」
ぽん、と、グレイの肩にレクシリアの手が乗せられた。そのままぐいっと身体を引かれ、グレイが一歩下がるのと入れ替わるようにレクシリアが前へ出る。
「倒れるから頼む」
小さな声で囁かれ、グレイは一瞬言葉詰まらせた後、盛大にため息を吐き出した。
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