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熱誠カタルシス -出逢い-11
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颯斗は焦る、傷つけるような事は言ってない…はず。
何が、綾世にそんな表情をさせてしまったのかが解らない。
そんな時、縁側の奥で引き戸がガラガラと重そうな音をたてながら開かれ、そこから袴姿の老人が現れた。
老人と言っても、姿勢はピンと伸び、精悍な顔立ちに整えられた白髪、鼻の下にはやはり白い口ひげを蓄えている姿は、見た目60代後半というところだろうか。
扉の向こうは、道場に続いているようだ。
「お祖父さん、稽古は終わりですか?」
綾世はゆっくりと、後ろを振り返る。
その顔には、表情が無い。
「ああ、次は七時からだよ」
祖父さんと目が合って、「どうも」と軽く頭を下げて挨拶をする。
祖父さんは、颯斗の顔をまじまじと見て目を細めた。
「綾世の…友達か?」
「あっ、はい!」
「いえ……」
颯斗の肯定と綾世の否定の返事が重なった。
祖父さんは、二人の顔を交互に見る。
俺は綾世を見、綾世は瞳を伏せていた。
さっき少し解りかけ始めていた彼の表情は、今は完全に感情が読み取れない。
颯斗は祖父さんに向き直り、姿勢を正し顔を上げた。
「あの、俺、櫻木くんとは今日初めて会いました。でも、友達になりたいと思っています!」
とてもはっきりとした、大きな声。
まるで決意表明のようだ。
祖父さんは、声を立てて笑った。
「そうか、そうか。愉快な子じゃな」
笑っていた祖父さんは、颯斗の口元の絆創膏に視線が向くと表情が曇った。
「お前さんの、その傷はどうした?」
「ああ、これはさっき…櫻木くんが変な奴らに絡まれていたのを助けようとしたら、俺が反対にやられちゃって……」
「情けないっす」と、頭を掻いてみせる。
「でも、櫻木くんがやっつけてくれて! すごかったっすよ。さすが、道場の息子!!」
話していると、ついさっきの出来事がよみがえり、興奮する。
視線を上げ、じいさんの顔を見ると、じいさんは険しい表情で綾世に視線を向けていた。
綾世は目を伏せ、俯いてしまっている。
「お前は……また素人を相手に手を出したのか?」
その声のトーンは低く、今まで颯斗と話していた人物とは別人のよう。
すごい威圧感。
俺、余計な事を話してしまった…?
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