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熱誠カタルシス ーあきらめ、ない。ー1
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「え…!?」
颯斗の驚きの声とともに、律基の箸からプチトマトが机の上に転がり落ちた。
「あ、ごめん! 丸いのをお箸で挟むのって、難しいよね~」
「お子ちゃまか!?」
緊張感無く、律基がアハハと笑い。
西嶋が仕切りなおすように、一つ咳払いをした。
「綾世が原因って、どういうこと!?」
「幹さ、入学式の日に、みんなの前で櫻木さんのこと大声で呼んだよな? そして、どういう関係かって聞かれて『友達』って答えた」
確かに、その通りだ。
「それが…なに?」
「櫻木さんってさ、昔はファンクラブまであって、親衛隊が居たぐらいの人気だぜ。 今は色々あって解散してるけど、それでも未だにファンだって公言してる奴等も多く居る。 それがさ、自分は何年も想い続けてて挨拶を交わすのが精一杯なのに、いきなり来た余所者が親しげに声を掛けて『友達』とか易々と言われちゃぁ、そいつらは面白くないんじゃないか?」
「………」
自覚は無いが、覚えはある…。
「まぁみんながそう思ってるって訳じゃなくて、勢いに引きずられてる奴等が多数だからあんまり深刻にはならなくっていいと思うけどな」
「うん…」
無視の理由が解かって、なんだかスッキリしたのはいいのだけれど、どうしたらいいんだろう……。
だからと言って、綾世のことを諦めるなんて…そんなのは、やっぱり絶対に嫌だ。
聖藍に居る以上、諦めたくない!
それを目標に、今までやってきたのだから。
颯斗は机の下で、力強く拳を握り締めた。
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