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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー3
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会議は、1時間もしないうちに終了した。
他のクラスの委員たちは忙しく片づけを済ませ、講堂を出て行く。
いつの間にか、綾世の姿もない。
『もう、俺は必要ないだろう?』と、綾世は言った。
あれは、どういう意味だ…!?
颯斗に友達が出来た事と、綾世の事は関係ない。
再会を楽しみに、綾世を追いかけて聖藍に来た。
なのに、綾世は自分が颯斗にとって『必要ない人』だと言う。
颯斗にとって、綾世の代わりになる人など居ないのに…。
そもそも綾世に出会わなければ、今ここに颯斗は存在すらしないのだから…
会議中、綾世の姿を目で追い、考え事をしていた颯斗には、ちっとも会議内容など聞こえていなかった。
西嶋には何と報告しよう…。
颯斗がノロノロとしているせいで、気が付くと講堂内は颯斗ともう一人の本部委員である周防の二人だけになっていた。
「西嶋はどうした?」
窓を閉めていた周防が、いきなり振り向いて話しかけてきた。
颯斗も手伝おうと、まだ開いている窓へと向かう。
「あの…、体調が悪いって……」
周防は眼を細め、外を見ている。
「仮病かぁ~…」
「えっ、いや…」
思わず、どもってしまう。
そんな颯斗の様子を見て、周防は笑った。
「お前、素直過ぎ…。 西嶋の人選ミスか? 奴に言っとけよ、仮病使うならアリバイも完璧にしろ、ってさ。 見てみろよ、あれって西嶋だよな…?」
周防が窓の外を指差す。
その先には、グランドで無邪気にサッカーボールを追いかける西嶋の姿があった。
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