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熱誠カタルシス -偽りと、真実。ー9
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誰も居なくなった教室で、西嶋と二人で窓際の席に向かい合って座る。
「幹は、川那辺のことを本人からどれだけ聞いてる?」
「川那辺のこと…? 部活とか…家族の事とか…」
律基はプライベートの事をちゃんと話してくれるし、颯斗の事も聞きたがった。
「初等科の頃の話とか…聞いてない?」
「それは…聞いてない……」
小学生の頃の話など、お互い聞いたり話しりしたことは無い。
普通は、そんなものだと思う…。
西嶋は困ったようなに眉間にしわを寄せしかめっ面をすると黙り込み、しばらく考えてからぼそぼそと話し始めた。
「川那辺、初等科の時に櫻木さんの取り巻きにいじめにあってるんだよ…」
綾世の取り巻き…? いじめ……!?
それって…。
「綾世の親友と親衛隊が…、ってやつか?」
「なんだ、聞いてるじゃないか……」
「聞いてるけど……」
律基は綾世の後輩の話だって…自分の事だなんて言わなかった……。
「その1件以来、学校では櫻木さんと口を利いてないらしい…。そうしろって、きつく言われたんだって。初等科の頃はさ…、みんなが嬉しそうに櫻木さんに話しかけて楽しげに会話してるのを川那辺は寂しそうに遠くから見てたよ」
「…………」
「櫻木さんは、川那辺を守りたいから自分から遠ざけたんだろうけど、そんなの小学生じゃ解からないだろ? 『どうして僕だけ・・・』って、川那辺の奴たまに泣いてた。今じゃ、櫻木さんの気持ちも解ってるみたいだけど…。でも他人のフリされる度、今でも傷ついてるんじゃないかと…俺は思う。……それに、櫻木さんがいつも独りなのは自分のせいだと思ってるみたいだしな」
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