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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー13
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綾世が腕を振り解こうとするけれど、颯斗は離さない。
絶対に離したりしない。
掴む手に、さらに力を入れた。
「櫻木か…?驚いたな……」
不意の第三者の声に、二人の動きが止まる。
振り向くと、後方に周防が立っている。
周防も生徒会役員なのだから、ここを通るのは当たり前なのだけれど…。
颯斗は勝手ながら、心の中で『なんで、今来るんだよ!』と、抗議する。
一瞬の隙を突いて、綾世が腕を払う。
あっ気に取られ、『しまった!』と思った時には、すでに綾世は東校舎の入り口へ駆け込み、姿を消した。
「悪い、邪魔したみたいだな。お前入学式以来、櫻木へのアプローチ頑張ってるよな。初めて見たよ、あの無感情人間が声を荒げるの…。まぁ、いい傾向だな」
「あの……」
言うわりにはちっとも申し訳なさそうには聞こえないけれど、周防は颯斗に自然に話し掛けて来る。
そういえば入学式の日に、綾世との再会を邪魔したのもこの人ではなかったか…?
「櫻木の奴…もしかして、本気でお前の事を嫌ってるんじゃないか?」
さらりと、言いにくい事を言って下さる。
でも颯斗の気持ちには余裕があって、何を言われようが痛くも痒くもない。
自信がつくと、人間って強くなるから不思議だ。
「…はぁ……」
「冗談だよ。あいつ、お前の事すごく気になってるよ。この間の会議の後にも、お前の様子気にしてた。他人のことには無関心の櫻木が…!って、随分驚いたけどな。まぁ、敵は手ごわいぞ。頑張れよ!」
そう言って、笑った。
綾世が颯斗のことを気にしている…。
それはとても嬉しく、ありがたい情報であり、また一つ颯斗の自信になった。
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