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熱誠カタルシス ー熱誠、カタルシス。ー6
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「喧嘩でもしたのか…?」
消毒液を含ませた脱脂綿を手に、保険医の三田先生が颯斗に訊いた。
「いえ…。 転びましたぁ~」
一目で明らかに殴られたのだとわかる傷だけど、面倒なので適当に答える。
「俺をバカにしてるのか…。 まぁ、言いたくなきゃ聞きやしないが。 ほどほどにしとけよ、1年坊主!」
三田先生はニヤリと笑った。
「さてと…俺、これからちょっと出てくるから、お前達に保健室の留守番頼むわ」
「え~、嫌ですよ!僕達、お昼御飯まだなんですからね」
律基が口を尖らせる。
その顔を見て、三田先生はさらにニヤリとする。
「じゃぁ、場所提供してやるから弁当持って来い!ここなら、食後のコーヒー付だぞ」
「はい。 留守番させていただきます!」
律基…変わり身、早すぎっ……。
二人は保健室でランチタイムにすることにした。
綾世も後で来ると言っていたし…・だったら、なお更その方が都合がいい。
律基と違って、決して食後のコーヒーに釣られた訳ではない!
*****
「でも、すげぇ~な川那辺。 台本通りだ…」
弁当をつつきながら、颯斗は律基に笑顔を向けた。
それに対し、颯斗に向けられる律基の目つきは最悪だ。
「“台本通り”じゃないよ! 僕のことまで勝手に持ち出すし…。綾ちゃんも他の2年生も、あんなに挑発して…。 幹くんが殴られた時はどうしようかと思ったよぉ」
「いやぁ~。 つい、熱くなっちまって…」
ガハハと笑いながら、頭を掻く。
「ちょっと綾ちゃんに絡んで、しゃしゃり出て来た元親衛隊と揉めて、それを助けてくれた綾ちゃんを慕って付きまとう1年生。って、ポジションを作るだけのハズだったのに…」
はい、そういう計画でした……。
でも、実は颯斗の頭の中には、途中からすっかり“台本”は消去されてしまっていた。
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