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純真メランコリー 41
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そして、話をする時にはいつも、真っ直ぐに視線を向ける綾世が、颯斗から視線を逸らしたことにも違和感があった。
「俺、聞きたい。だからちゃんと話してよ!」
払われた手を伸ばし、綾世の腕を掴む。
そうしないと、その存在がまたどんどん遠くなってしまうような気がした。
「…きっと、話を聞いても颯斗が困る」
やっぱり!
一人で抱え込もうとしている。
「なんで勝手に決めつけんの?そんなこと聞いてみなきゃわかんないだろ。それに、何で祖父さんが倒れたことを綾世さんのせいだなんて思ってるのかが知りたい!」
「……でも…また迷惑かけるかも…」
迷惑…?
「なんのこと?! 迷惑かけられたと思った事なんて、俺一度もないよ。それに、話を聞いたからって困るかどうかはわからないだろ?」
綾世の腕を掴む手に力がこもる。
「ううん。きっと…重い……」
え…?! 重い?
「綾世さん全然重くないでしょ?! 俺ら、身長は大して変わんないけど、体重は綾世さんの方が全然軽いって!」
颯斗の言葉に、眉根に皺を寄せて綾世が顔を上げた。
「……そうじゃなく」
重いとか軽いとか、体重のことじゃないのは颯斗だって解っている。
おそらく、話の内容が…。とか、そういったところだろう。
でも、とぼけた素振りで話を続けた。
「綾世さん細マッチョでどっちかって言うと痩せてる方じゃん!俺の方が絶対筋肉量多いし、重いって!」
片手で綾世を掴んだまま、もう片方の腕に力こぶを作って笑って見せた。
「………」
綾世が颯斗を静かに見つめている。
その顔は無表情なんだけど…いつもの感情が読めない表情とは少し違うような……。
颯斗の真意を測りかねているような…?
これでもかってくらいに、満面の笑顔を向ける。
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