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認める、ということ。ー綾世side-ー 14
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…颯斗の希望に応えてやりたい思いがない訳ではない。
けれど、言葉で伝えるのは……やっぱり恥ずかしくて……。
では、言葉にするのが難しいのならば………行動で…。
ふと、そう思う。
寝転がる颯斗に覆いかぶさるように顔を寄せると、唇を重ねた。
見開かれた颯斗の瞳に綾世が映る。
慌てて…でもそれを悟られないように、素早く立ち上がった。
行動してしまった後で、それもまた躰の熱が急激に上がる程に、恥ずかしい思いをするのだと知る。
自らの行動によって、また初めて知る感情に綾世自身動揺していた。
振り向かず…。
正確には、"振り返ることが出来ず"出入り口へ向かう。
ちらりと後ろを盗み見ると、颯斗に起き上がる気配はない。
床に転がったまま、ただ茫然と天井を見上げている。
大股に踏み出す綾世の足に、妙に袴がまとわりつく様な気がしてならない。
「あ~…ドキドキし過ぎて死にそう…」
ボソリと颯斗の呟きが聞こえた。
まるで、こちらの気持ちを言い当てられたようでドキリとする。
でも、颯斗が同じような思いをしていることに妙に安心したりして…。
それで、少し…ほんの少しだけ、気持ちが落ち着いた。
『好き』という気持ちを認め、伝える…。
それが、こんなにも勇気が要るのだということを、綾世は初めて知った。
失いたくないと思う相手だからこそ、それは尚更…。
もしも颯斗に出逢っていなければ、こんな思いを知ることはなかったかもしれない。
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