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8ページ目ー焦点ー
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あの後、僕らは琉煌さんたちに引き取られ母親と離れた。
母は臓器売買だか金持ちのおじさんに買われたとか琉煌さんの側近と呼ばれる人が言ってた。
僕は暴力を振るってきた母と離れて少し安心したが、お兄ちゃんは違った。
お兄ちゃんは、毎食出される食事は全然手をつけず、与えられた部屋のベットからただぼぉーっと外を眺めているだけだった。
琉煌さんが気を使って声をかけたり、顔を見にいたりするが、会話が成立することはなかった。それどころか焦点が合わないのだ。
こんなお兄ちゃんを見たことがなかったのでとても怖かった。
ここに来てからのお兄ちゃんは感情のない「人形」と周りの人から影で言われてきた。
それでも琉煌さんは根気強く毎日話かけにいっている。
僕は前に「なんでそんなにお兄ちゃんに構うの?」と聞いたことがある。
そしたら琉煌さんは、「こんなになったのは俺のせいだから。」
それだけ答えてまたお兄ちゃんの方に向かった。
お兄ちゃんは日が経つにつれてやせ細っていった。僕がお兄ちゃんにご飯をやるが全然口に入れてくれない。少し悲しそうな顔をすると口に含んでくれるが、少し含んだだけで口を開かなくなる。水分は少しずつ飲んでくれるが、食べ物は受け付けてくれない。
そんなお兄ちゃんを見て、だんだん自分もストレスとかで調子を崩し、食事が取れなくなってしまった。
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