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暗い森の中を一台のバスが進んで行く。
何処の国なのか、何時なのか分からない。
何より、何故自分が此処にいるのか分からない。
それらが今の思考を占めている全てだった。
数日前まで普通の生活をしていた。
他と比べると多少特殊な経歴を持ってはいたが、それでも少し前の生活に関しては普通の範疇だった筈だ。
それが、今は犯罪者を輸送する様な護送車に乗って訳の分からない軍事訓練専門の基地に強制連行されている。
周りにいる同じくらいの年頃の男達も訳がわからないといったていで、キョロキョロ周りを見回していた。
見た限り、国籍、肌の色、身長……特に一貫性は無い様に感じられる。
こんな所に連れて来られて冷静に状況を分析しているのもおかしな話だが分析を続けると、途中まで目隠しをされていた為、自分の正確な現在地が特定できない。
最後に居たのはロサンゼルスで、行きつけの小さなバーから出た所を襲われた。
薬を嗅がされた様だったが、生憎その手の薬は効きにくいため、気を失っていたとしても4時間程度。
意識が戻ってから飛行機には乗せられていない。
これらのことから、恐らく未だアメリカを出ては居ないと思うが、詳しくはわからない。
抵抗や悪足掻きは無駄と分かっていた。
それに生憎この高速で走行中の護送車の鉄格子を壊して飛び降りる気はなかった。
勝算の無い賭けはしない主義だ。
しかし幸か不幸か、この頭の逝かれた連中は俺達を何処かに連れて行こうとしているのだ。
無駄なアクションさえ起こさなければ、今すぐに殺されたりはしないだろう。
ならば無駄死にするより相手の言う通りに動いて様子を見ようと思った。
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