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心の距離 01
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体育倉庫を出てから、篠原は一言も喋らず…
俺は篠原に引かれるままに歩く。
どこに行ってるんだろう…
そう思っても聞く気にはなれなくて、結局俺も何も話さないまま。
「え、ここって…」
そして、着いた場所は篠原の部屋。
鍵を開けて、部屋の中にズカズカと入っていく。
もちろん、篠原に腕を掴まれている俺も中へと入っていった。
「あの、篠原??」
喋りかけても返事はない。
奥へ奥へと入っていく。
そして、風呂場の前で足を止めた。
「しのは、」
「入って。」
「え??」
「いいから、入って。」
「ちょっ、篠原!!」
訳も分からず、俺は無理矢理風呂場に押し込まれた。
「おい、篠原!!」
ガチャッ
…ガチャッ??
俺は、ドアノブに手をかけ、ドアを開けようとしたが、全然開かない。
ここの寮の扉は安全性を確保するため、中からも外からも鍵をかけられるようになっている。
でも、当然のように中からかけた鍵は中から、外からかけた鍵は外からしか開かない。
俺は、完全に閉じ込められた。
「おい、篠原!!開けろよ!!」
「……」
「篠原!!」
何度呼びかけても、何度ドアを叩いても返事はない。
それでも、俺は叫び続けた。
「篠原、開けろ!!」
「……」
「おい、開けろって!!」
「……」
「篠原!!」
「うるさい!!!!」
「っ!!」
ドア越しに聞こえた篠原の罵声。
でも、それは怒ってるんじゃなくて、苦しんでいるように聞こえた。
「篠原、ちゃんと話がしたいんだ。だから、ここから出してくれないかな??」
「……」
「篠原。」
「……しまう。」
「え??」
あまりの小さな声に俺はもう一度聞き返す。
「ここから先輩を出すと、また先輩を傷つけてしまう。」
「え…??」
「イライラして…今、嫉妬でやばいし…。このままじゃ、俺…またあんな乱暴なことを…。」
「篠原…。」
あいつは今、どんな顔をしている??どんなことを思っている??何に苦しんでいる??
俺は、風呂場のほうへと足を進める。
そこで、ふと篠原との出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
そういえば、あのときも…文化祭のときも篠原はお客さんに嫉妬して、俺は無理矢理服を脱がされて…
シャワーまでかけられたっけ。
確かに、あのときは嫌だった。
でも、今は…
俺はまたドアのほうに近づいた。
そして、ドアにゆっくりと手を添える。
篠原に俺の声が、気持ちが、届くように…
「いい…から。」
「…ぇ??」
「乱暴にしても、いい…から。」
「せん…ぱい??」
俺は何を言っているんだろう。
何を考えているんだろう。
どうして、篠原を受け入れようとしているんだろう。
それでも、嫌だとは思わない。
逆に今は篠原に触れたい。
篠原と触れ合っていたい。
俺は…
「おまえと…離れたくない。」
「っ…先輩。」
ガチャッ
ドアの鍵が開く音。
そして、ドアがゆっくりと開いた。
それと同時に再び篠原の爽やかな香水に包まれた。
篠原の鼓動が体温が服越しに伝わってくる。
なんて心地いいんだろう…
「先輩…!!」
「篠原…」
あぁ…そうか。
俺はずっとこの温もりに触れたかったんだ。
ずっと篠原を求めていた。
だから、体育倉庫のとき、篠原ばかり頭に浮かんで、篠原のことばかり考えて…
俺は…ずっとこうしたかったんだ…
俺は篠原の背中にゆっくりと自分の腕を回した。
それに気づいた篠原も優しく、優しく…でも強く、俺を抱きし返した。
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