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問題だらけの勉強会 11
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「実は…今朝、寮内でたばこの吸殻が落ちていて。」
「え??」
「それを生徒会役員が見つけて…。今、生徒会で問題になってて…。誰がやったのか探してるんだ。」
俺の言葉に俯く篠原。
かすかにだけど、篠原のほうから声が聞こえる。
その弱々しく擦れた声に俺は耳を傾けた。
「先輩は…俺がやったって思ってるんですか??」
「え…??」
「だから、今朝俺が何やってたか聞いたんですか…??」
「ちがっ!!」
「じゃあ、なんでですか!!」
篠原の罵声に俺の肩がビクンと震えた。
「ごめん…篠原。ごめ…」
「別に謝ってほしいとは思ってません。……先輩ちゃんと話してください。」
その言葉に胸が痛くなった。
ちゃんと話さないと…
篠原には嘘つきたくない。
そう思ったら、自然と口が動いた。
「生徒会役員が、おまえを疑ってる。」
「え??」
「そして、俺も…」
「先輩…。」
「夕貴、違うだろ!!おまえは…」
そんな俺の言葉を、孝太が否定してくれた。
俺にとってそれは、とてもうれしかった。
でも…
「違わないよ…。篠原を100%信じ切れてないのは本当だし…。信じなくちゃって思う自分と、どうしても疑ってしまう自分がいたんだから…。」
「……」
「ごめん、篠原…。」
信じ切れなくて…
疑って…
本当にごめん…
すると、篠原はゆっくりと立ち上がる。
そして、玄関のほうに歩いて行った。
「篠原、待てよ!!」
そんな篠原を見て、俺は反射的に篠原の腕を掴んだ。
「ごめん、篠原…。本当にごめん…。」
「だから、謝ってほしくないって言ってるじゃないですか…。」
「っ…!!」
篠原の声は弱々しくて、今にも泣きそうで…
そんな声を俺は初めて聞いた。
そして、その声を聞いたと同時にどうして信じてあげることができなかったんだろう…という後悔でいっぱいだった。
俺の握る手の力がだんだん弱くなっていく。
そして、篠原の腕が俺の手からするりと抜けた。
篠原は、何も言わずに俺の部屋から出て行った。
俺は、その姿を見ることすらできず、ただ立っていることしかできなかった。
「追いかけなくていいのか??」
心配した孝太が俺の横に来て、俺の顔を覗きこむ。
「いいんだ…。それに、俺にはそんな資格ないし。」
「あるよ。」
力強く、堂々とした孝太の声。
その声に俺は思わず孝太のほうを見た。
俺を見て優しく微笑む孝太はこう言った。
「篠原は、夕貴を必要としている。だから、おまえにはちゃんと資格がある。」
「っ!!」
その言葉にようやく俺の心が晴れる。
俺は今まで何をしていたんだろう…
篠原は、いつも俺を見ていてくれた。
支えてくれた。
なのに、俺は支えられてばっかで、頼ってばっかで…
「ばかだな、俺って…」
やっと気づいた、自分の弱さ。そして、篠原の優しさ。
次は、俺がおまえを助ける番だな。
「孝太、俺…」
「うん、行っておいで。そのあとは、犯人探しに付き合ってもらうからな。覚悟しとけよ??」
孝太の笑顔。この笑顔にも救われたな…
孝太にもいろいろと恩返ししないとな…
「ありがとう…!!じゃあ、行ってくる!!」
俺は、孝太にそう言って、部屋を飛び出した。
が、誰かが俺を取り押さえる。
「な、なにすんだよ!?」
顔を見たくても見えない。
そして、俺の口に布みたいなものが押し当てられた。
上手く息ができない。
「ん、んー!!」
苦しい…苦しい…!!
もがいても、全然力が敵わない。
次第には、苦しいと思えないほど俺の思考回路はあやふやになっていて…
俺の体から力が抜けていく。意識が遠くなっていく。
そして、俺はそのまま意識を失った。
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