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F-0130 ユウマ (6)
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目が覚めた時、ユウマはまだ俺の腕の中で静かに寝息を立てていた。起こさないようにそっとベッドから降り、朝食を作るために台所へ向かった。シゲユキが買っておいてくれたものを見渡し、食パンを手に取る。
「おはよ・・・ございます・・・。」
「ああ、おはよう。顔洗って先座ってて。」
目をこすってまだ眠たそうにしているユウマは、洗面所へ歩いて行った。まだ眠たそうにしているが、その足でダイニングテーブルへ行き、ぼうっとしていた。トースターの中にあるパンを取り出すのと同時にユウマを呼び、完成したものをテーブルに運ぶように指示するとゆったりと動き出した。すべて運び終えるとユウマは驚いたように目を開いて固まっていた。
「どうしたの?」
「こんな・・・こんなに、いいの?」
「いいよ。はい、いただきます。」
「あ・・・いただきます。」
ただバターを塗って焼いただけのパンにかじりついたあと、小さな声で美味しいと呟いた。嫌いな食べ物はないようで、サラダもスープも残らず食べきった。
「ユウマ、準備できたらさ、散歩行かない?公園とかに。」
「・・・・・・。」
「ちょっとだけ、外出てみない?」
「わかり、ました・・・。」
不安そうに見上げて固まっているユウマは、やはり人と会うのが怖いのだろう。ソワソワして落ち着きがなくなった。
ユウマを外に連れ出そうとしたところで、ふと気が付いた。ユウマの服だ。あまりコドモを外に連れていくことがなければ、ユウマは体が小さい。それゆえ俺が持っている服の中にはサイズが合うものがないのだ。仕方ないが、今は俺のTシャツに薄めのハーフパンツを着てもらうことにした。
スマホと財布だけをポケットに突っ込み、玄関から出るとユウマはぴったりと俺にくっついて歩いた。少し前かがみになりユウマの顔を覗き込むと眉を下げ、憂鬱な感情が抜けていないような表情を浮かべていた。
「大丈夫?」
「だ・・・大丈夫、です・・・。」
人とすれ違うたびにビクビク震え、俺の服の裾を掴む手を強くする。その手を掴み、少し引っ張ると驚いた顔をしていたが、嬉しそうに笑った。緊張が解けたみたいで、顔色がさっきより良くなった気がした。
「手・・・繋ぐと、平気かも・・・。」
「かも、なの?」
くすくすと笑いながら返すと、きゅっと強く握り返してきた。
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