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F-1009 カエデ・F-1010 モミジ(2)
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『報酬は?』
これまでの経緯と事情を話すと予想通りの返答をされた。この人が言いたいことはよくわかっている。また、何を望んでいるかもわかっていた。それを知りながら俺は考えていた答えをリクマに返した。
「ユイさんから迷惑料兼ねて倍の報酬が出るそうです。」
『お前、それだけで俺が動くと思ってるわけ。』
「・・・・・・。」
『だったらお前一人でやっとけよ。』
「・・・お願いします。片方、引き取ってください。」
『だから、報酬。』
俺は何一つ悪くない。そう、悪くないのだ。それでもユイに迷惑を掛けたくなかった。それならリクマに身を売るほうがマシだった。リクマは頼れる人だ。頼み続ければ首を縦に振ってくれるとわかっている。どんな無理なお願いでも報酬次第で頷いてくれる人だった。
「何を、お望みですか。」
声が震えていた。怖さなのか、緊張なのかはわからない。
『お前を、三日。好きにさせろ。』
想像していた答えとあまりに一致しすぎていて思わず乾いた笑みがこぼれた。この人のことを理解しているのも、こういう条件を突きつけられるとわかっていながら頼ってしまうのも嫌で仕方がなかった。
『それが無理なら俺がお前に手を貸すことはない。』
「・・・わかりました。」
『誰か迎えに寄越せ。あと、そいつら、ベッドサイドにでも繋いでおけよ。』
返事をする前に電話を切られた。側にいたシゲユキにリクマを迎えに行くように頼むと、何か言いたげな顔をしていた。それに笑うことで返答し、それ以上何も言わなかった。
「本当、似てるな・・・。」
リクマに言われたとおり、一人は平素な寝室へ連れて行き、両手をまとめてベッドに繋いだ。もう一人は自室のベッドのほうに繋ぐ。二人の寝顔は特に似ていた。抱き上げた時の重さでさえも同じくらいだと感じた時は鳥肌が立つほどだった。施設の人たちの管理の仕方が悪いのは間違いないが、間違えても仕方がないと思ってしまった。
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