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ーーあ…やば…、
身体から力が抜けて翼の手中から悠の手がスルリと滑り落ちる。
「ハーく…」
違和感に気付いた翼が振り返った時、もう事態は取り返しのつかない所まで進んでしまっていた。
「悠ッ!!!」
迫る機体、道路側に崩れていく身体。
翼は咄嗟にその身体に手を伸ばした。
ーーその瞬間、激しい衝突音とブレーキ音が辺りに響き渡った。
歩道側に倒れた悠はその衝撃に意識を取り戻し、目を開けてーーそして大きく見開いた。
「きゃ…、」
「きゃぁぁぁっっ!!」
そばに居た女性の甲高い叫び声が耳に届く。
目の前で血を流し、完全に動きを止めた四肢を悠は呆然と見ることしか出来なかった。
「おい…、救急車…、救急車ッ!!」
騒然とする周囲の声は悠にはもう聞こえなくなっていた。
大丈夫か、と駆け寄って悠の身体を支えてた男性が焦点の合わない悠の身体を揺する。
然し悠の意識はもうそこには存在していなかった。
「お兄…、ちゃん…?」
ーーそう呟くと同時に、悠の視界は完全にブラックアウトした。
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