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千尋は騒がしい蝉の声を聞きながら縁側でうたた寝をしていた。
夏の昼下がり、まだまだ外は暑かったが時に吹く微風を感じながらの昼寝は最高だった。
すると突然ドタドタと廊下を走る音が聞こえて何かが千尋に向かって飛びついてくる。
「千尋にぃ千尋にぃ!」
千尋の服をぐいぐい引っ張りながら身体に跨っている弟の声で目を覚ました千尋は小さく唸った。
「んー…?なんだよ陸…、急に飛びついてくんな」
仕方無く身体を起こせば陸は千尋の膝に乗ったままキラキラと目を輝かせる。
「千尋にぃ!一千花にぃきた!」
「…!」
それを聞いた千尋はガバッと勢い良く立ち上がって当たりを見渡した。
「は?どこだ」
「玄関の方〜!お母さんと話してた」
「分かった、ありがとな陸」
千尋は陸の頭をワシャワシャと撫でて早足で玄関に向かう。
然し玄関に一千花の姿は無く、玄関掃除をする母だけが残っていた。
「あ、母さん。アイツは?」
「あぁ千尋、一千花君ならお父さんのところよ」
「親父の?また薬かよ」
「そうなのよ。一千花君、体調崩しやすいみたいでねぇ…」
「…ふーん…」
生返事をしつつそういえば、と千尋はあの日のことを思い出していた。
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