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30 《一時》
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《一時》
参ったな……。
いや、参ることは無いんだけど。
なんていうか、那月にすっかり気に入られちまった。
スーパーに行くと、俺を見つけては笑顔満開、走り寄って来てお辞儀する。
俺が行く所、行く所、邪魔にならないように付いて来て、話し掛けようもんなら、目、キッラキラさせて。
まるで仔犬。
相変わらず、お人好しでどん臭い事ばっかりしてるから、ほっとけない俺も俺だ。
そしてそれによって、ますます懐いてる……。
そんなある日の事______
その日、俺はついてた。
何故なら仕事が早く終わり、予定外に午後休みになった!!
あーー、久しぶりにのんびりだ!
取り敢えずは、部屋の掃除!
忙しくて、部屋が汚い!
ん?
よく考えると主婦みたいだ。
ま…ま、いいか。
いつものスーパーに寄って……
そう考えた時、あの子の事が浮かんだ。
俺は、スーパーに行くのは2,3日に一回程度で、後はコンビニ。
でも、決まってあの子が居るんだよな。
あの仔犬が。
そして今日、いつも俺がスーパーに行く時間よりものすごく早い。
どーしたもんか?
スーパーに行く用事は、今行ったら後は3日間必要ない。
あの子……ガッカリするな……。
いや、別に約束したわけでもないし!
悩みながら歩いていると、向こうから見慣れた姿が現れた。
「おーい!那月!」
俯いて歩いていたが、声を掛けた途端に笑顔になった。
「守谷さん!」
走って来る。
見ると、那月も学校帰りみたいだ。
「お仕事、終わったんですか?」
「ああ。那月は?今、帰りか?」
「はい!期末テストで!」
那月がすぐ側まで来て、キラキラの目で俺を見つめる。
しっぽ振るのが見えるみたいだ。
思わず吹き出したら、那月が不思議そうな顔した。
「??何か変な事言いましたか?」
「いや、なんでもない。
それよりその傷、どうした?」
那月の顔に、赤くなった所がある。
この頃いつもそうだ。
足引き摺ってたり、手を怪我して包帯巻いてたり。
「あ…転んじゃって!」
いつもと同じ返答。
「大丈夫です。僕、どん臭いから。」
ニコニコ笑って言うから、追求するのが躊躇われる。
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