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《那月》
「ちょっと!!」
いきなり声がした。
あ、僕寝てたんだ。
そうだ、お風呂に入って、ちっとも温まらなくて。
仕方がないから、くまさん抱えてベッドに横になって。
「何寝ぼけてるの!!さっさと起きなさい!!」
あ、お母さんだ。
僕がここに越して来て以来だ。
来てくれたんだ!
慌てて起きようとしたら、急に暗くなった。
あれ?
そう言えば、頭が痛いし息もしんどい。
風邪……かな?
「愚図!!
ほんとトロいんだから!!
「ごめんなさい、お母さん。」
そろそろと起きた。
「この部屋借りるわ。
出て行って。
一晩帰って来てはダメよ。」
「え……?」
「見たところ綺麗だし、あんた相変わらず物持ってないのね、まぁ助かるけど。」
お母さんは、僕の数少ない私物を物入れに放り込み出した。
「ベッドと机は、仕方ないとして……あんた早く出てってよ!!」
何が何やらさっぱりわかんない。
お母さんは呆れたように、舌打ちした。
「あんた想像力ってもんがないわけ?!
クリスマスイヴだから、パーティーをするの!
普段使ってた個室が、いっぱいで仕方ないから此処でするの!
わかったらさっさと出て行って!!」
「え……じゃあ僕は……何処で寝れば……?」
「そんな事知らないわよ!」
「……ごめんなさい。
僕風邪引いたみたいで……邪魔にならないようにするから……此処に居させて?」
「ダメよ!
ワンルームで邪魔にならないようにどうやってするわけ?!
さぁ出てって。」
お母さんは振り返りもせずに言った。
なおも言おうとして………止めた。
ダメ……なんだ……。
どうしても。
お母さんは言い出したら聞かない。
ノロノロとコートを来て、財布とくまさんを持った。
くまさん、寒いけど付いて来てね?
手のひらに乗るくらいのちっちゃなくまさん。
コートの大きなポケットにすっぽり入った。
「……お母さん。」
ドアを開ける時、そっと呼んだ。
「あんたまだ居たの!!
忙しいんだからさっさと出て行って!愚図!!」
教科書が投げ付けられ、顔に当たった。
「……行って……来ます….…。」
返事は返ってこない。
ドアをそっと閉めた。
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