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71 《一時》
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《一時》
那月に会えない。
いや、別に約束した訳ではないし。
でも、1か月会えないっておかしくはないか?
生活圏が一緒で、あれだけ会ってたのに。
気になって電話したものの、那月は出ない。
留守か?
まさか、また具合が悪くなってウンウン唸ってるんじゃないだろな?!
家の人がいるから大丈夫だと思うが、
なんせクリスマスイブの事があるから……。
なんでだろう。
気になって仕方がない。
スーパーに行っても、笑顔全開しっぽ振って駆け寄って来る奴が居ないと何か調子が狂う。
電話を掛ければ良いんだが、あっちから何にも言って来ない以上なぁ。
なんだか引っかかる状態で悶々と過ごしてたら、那月を見つけた!
その日は、仕事が混んでて後輩のミスもあって夜通し仕事しての帰りだった。
なんだ那月の奴、こんなに早くに買い物していたらそりゃ会わないはずだ。
しかも、スーパーじゃなくてコンビニで!
コンビニを出た所で声を掛けた。
「那月!」
「あ……あ……
こ……んにち……ゎ。」
一瞬、逃げ出そうとした?
何でだ??
辛うじて立ち止まったものの、目を合わさずにソワソワしてる?
「…お久しぶり…です。」
その態度に思わず、
「どうしてたんだ?!
今まで?!
心配してたんだぞ?!
電話にも出ないし!」
しまった。
詰問口調で言ってしまった。
別に心配するのは勝手だ、と言われればそうなんだが。
だが、いつものようにキッラキラの笑顔でなかったのは良いとして、目線も合わさないのはどーなんだ、と言いたい!
「え…電話……?」
オドオドとした那月と初めて目が合う。
ちょっと冷静になった。
落ち着け。
「いきなり怒鳴ってごめんな。
電話、2、3回掛けたけど留守だったのか?
1か月会わないなんて初めてだったし、また具合が悪いんじゃないか、と思って。
心配したんだぞ?本当に。」
那月は目を丸くして聞いていた。
「……電話…何回も……。
それに心配した……って……。」
那月の目が潤んでる。
泣いてる……?
「え?那月?」
「あ…!」
慌てたように目を瞬かせて、ニッコリ笑った。
「目にゴミが入って……大丈夫です!
ありがとうございます!
すみませんでした、電話出なくて……。」
幾分いつもと違うようだが、
やっと会話になる。
何故だかほっとした。
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