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73 《一時》
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《一時》
「那月?」
「………えっ…と!
年末からずっと旅行に……それで。
ごめんなさい、心配をお掛けしました。」
だから!
なんで嘘をつく?
あのな、バレバレだぞ?
「えっと!
守谷さん、早いんですね?!」
「俺は泊まり明け。
それより!那月……。」
じっと見てたら、目を晒して。
次にこっちの方をチラチラ見て。
最後にとうとう、
「………ごめんなさい。
嘘です……。
体調悪くて寝てました……。」
俯いて白状した。
でも決意したかのように
「も大丈夫です。
明日は学校行きます!」
と、一段と細くなった身体で、
真っ直ぐ目を見て笑顔で言う。
なんだろう、笑顔なんだけど…
何か危ういような。
ズキ……と心か痛む。
「那月。」
「はい。」
話し掛けたらたら相変わらず笑顔なんだが。
無理してるんじゃないだろうか。
本当に大丈夫なのか?
が、確信が持てない。
知り合った当初は他人事と思って放ってた。
でもあまりに鈍臭くて莫迦で、世話焼いているうちに気になって。
考えてみれば、那月の事を何も知らないんだな。
「……あの…?」
いきなり、那月の事を知りたい、と言っても、那月は面食らう…か。
第一、那月の事が知りたいって俺はストーカーか?!
かと言って、知らん振りするのも…なぁ。
なんてこった。
いつの間にか、那月のウェートが大きくなっていく。
単なる懐いてきた仔犬だったのに。
俺もどうかしてんな。
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