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82 《一時》☆
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《一時》
「那月!!大丈夫か?!
血が……!
傷を見せて見ろ?!」
「だ…大丈夫です。
すみま…せん…!
汚してしまっ…て……」
青い顔で、それでも笑顔つくって言うけれど。
ベンチに座らせても、ともすれば崩れ落ちそうだ。
足下に…血が付いてる?
街灯の灯りでよく見えないが、濃紺のズボンが…まだら…色が変わって……?
那月が見られている事に気付いて、暗がりに行こうとする。
「見な…いで……!
お願い…もう大丈夫…だから行ってください!」
まさか…レイプされた?!!
那月が…レイプ?!!!
那月が、半泣きになって訴える。
「見ない…で……」
小さ身体をより一層小さくして……。
思わず叫んだ!
「誰だ!
那月をそんな目に合わせた奴は?!
逃げたのか?!
どうなんだ!!」
「先輩!」
那月の肩を揺すろうとした時、思いの外、強い力で晴に止められた。
「落ち着いて!今はこの子!」
「あ…ああ、悪い。」
……那月が乱暴された、と気付いて思わずカッとした。
しっかりしろ!
「悪かった…ごめんな?
大丈夫、もう安心だからな?」
ひざまづいて顔を見上げて言う。
那月が涙の溜まった目で見る。
「……嫌…じゃない…の……?
汚い…って……」
「莫迦!
誰がそんな事思うか!
痛くて怖かったな……
ごめんな、俺までこわがらせて…。」
頭を撫ぜると、那月の目がまた新たに潤んだ。
「…嫌だろうけど、医者に診てもらおう?
背負って行くから?」
弾かれたように那月が激しく首を振る。
「だ…大丈夫…です!
少し休めば。」
「まだ言ってんのか。
ダメだ。」
「……お医者さんは嫌です!
お願いします!」
「那月」
「落ち着いて下さいって!
えーーと、那月くん?
俺は、いちじ先輩の後輩の大江晴です。」
俺を押し除けて、晴が那月を見上げる。
「え…」
那月がきょとんとしてる。
当たり前だ。
何を悠長に自己紹介してるんだ!
「え……いちじ…?」
「あ!そうか!
名前!一時(かずとき)っていちじって読めない?」
「………あ……」
那月が、クスッと笑った。
晴は大きくうなづいて、
「うん、笑えたら大丈夫だ。
あのね、医者に行くかどうか、俺に見せてくれない?」
「……え…」
那月が戸惑う。
俺だって戸惑ってる!
何で??!!
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