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捜索
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こたと二手に別れ、おれはこたの猫達……ではなく、オトを捜していた。
おれ達だけでやみくもに捜し回るより、オトに協力してもらった方が早いと思ったからだ。
だが、いくら探しまわっても、オトどころか猫の姿さえ見つけられなかった。
「そう簡単にいかないか……」
路地の脇で足を止め、軽く息をつく。
どこからか、こたの声がする。
「レンーーー! キクーーーーッ!!
スズラアアァン!!!」
「声デカいなー……」
お前の声がしたら逆に逃げちゃうじゃないか。
そもそも、猫達が逃げ出したのは、たぶん……
「……お前のせい……なんて、言えるわけないよなあ」
思わずうなだれる。
ふと、リン、と音がして、顔を上げた。
『やっぱりいた』
嬉しそうに声を上げるオトを、思わずジトッと見つめてしまう。
ちくしょう。めちゃくちゃ捜し回ったのに。
「ずるいなー猫はー」
『ねぇ、あの声でかい人、スズランちゃん達の飼い主でしょ』
「うん」
『さっきまで一緒にいたんだよ。
でも、あの人の声がした途端、逃げて行っちゃった』
オトはちょこっと首をかしげる。
『どうする? 追いかける?』
「……うん。戻るように説得してみよう」
『よし。それでこそ、おれ達だよね』
オトは満足気に笑う。
たぶん、こうなるとわかってて、猫達を捜す前におれと合流したんだろう。
「ほんとお前ってひねくれてる」
『ちょっと、早くしないと匂いが追えなくなっちゃう』
「はいはい……」
『ねえー? 置いてっちゃうよー?』
「お前が早いんだよっ」
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