アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いつもの仕返し
-
『は?
駄目だって言ったじゃん。
触ったら怒るからね?』
いやいや、触るなって言われると触りたくなるのが人情ってもんでしょ。
ちょっとだけなら……
『全くミコトは……、にゃっ!?』
ビクン、とオトの尻尾が大きくしなる。
ちょっと触っただけなのにこの反応って。
猫の身体ってどうなってんだろ?
『ミコトっ!
あ、ちょっと……!』
指の腹で揉むようにすれば、無意識なのか腰が浮いた。
『やだ、みこ、とっ……
あ、んっ』
「そんなに気持ちいいの?」
『ばかっ、違……ふにゃ、あ……っ』
やば、なんか楽しくなってきちゃった。
いつもはおれがやられてばっかだからな。
たまには仕返しさせてもらわないと。
「なぁなぁ、猫も射精とかすんの?」
『……っ……うー……』
「オト、聞いてる?」
『……この、変態……っ、
ミコト、なんか……ミコトなんかっ』
「まぁまぁ、そう怒んなって」
『〜〜っ、ミコトの、ばかぁッ!!!』
「……!?」
ビシッ。
と。
なにかが裂けるような音がして……
気付いたときには、額からつうっと赤いものが垂れていた。
……って、
「ぎゃーーー!!
血!! 血ぃ出てるぅ!?」
『あ、ごめん』
「え、ちょ、これめっちゃ痛いんだけど!!
バンソーコーどこ! バンソーコー!!」
『……………………はぁ〜……』
これぞ、自業自得ってやつ?
「ーー……だからっていくらなんでもさぁ、思いっきりひっかくのは反則じゃないですか」
『わざとじゃないし。
そもそも先に手を出してきたのはミコトじゃん』
そうふてくされたように言うオトは、さっきから一度も目を合わせてくれない。
「調子に乗り過ぎました。反省してます」
『誠意が伝わってきません』
このやろう。
「なんだよ、誠意って」
『本気で反省してないでしょ』
「そりゃあ……」
してないよね。
むしろオトのあんな声が聞けたんだから、得したと思ってる。
『ミコトの変態』
「お前に言われたくねぇから」
『おれはミコト限定の変態なんですー』
なにそれ。
喜んでいいの?
「そういうところが変態なんだって」
『そんなこと言って、ちょっと嬉しいって思ってるでしょ』
うわー、バレてるし。
『ミコトはおれのこと大好きだもんね』
「悪いかよ」
『べっつにー?
だって、おれもミコトのこと大好きだもん』
「……」
全く、さらっとそういうことを言わないでほしい。
「つーか、いつまで猫のままなわけ?」
『こっちの方が楽なんだもん。
なに、化けてほしーの?』
「いや、別にどっちでもいいけど。
なんか……頭の中で声が聞こえんの、落ち着かなくてさ」
『あー、人間は普段テレパシーなんて使わないもんねー。
うん、それなら、』
ぽん、と、空気が弾けるような音。
反射的に閉じた目を開けると、さっきまで黒猫がいた場所にオトがいた。
「ご要望に応じましょう」
首を傾げて、にこっといたずらっぽく笑う。
おれはたまらず苦笑した。
「素っ裸じゃ、かっこつかないな」
「あははっ」
「……」
なんとなく、毛皮じゃないオトの肌の感触を確かめたくて手を伸ばす。
だけど手が届く前に、おれはオトに抱き締められていた。
「ミコトって結構、甘えんぼだよね」
「お前がだろ?」
「ふふ、そーかも。
やっぱり、こうやってぎゅってする方が安心する」
言いながら、すりすりと頬を擦り寄せてくる。
オトの体温があったかくて、おれは目を閉じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 73