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「はるちゃん大丈夫!?」
「あー…うん、たぶん大丈夫…!ご迷惑をおかけしました…」
心配そうな顔をして駆け寄ってくる湊くんに、なんとなく後ろめたさを感じながら返事をする。
俺は保健室から本部席に戻っていた。
あのあと……
上月と保健室でえ…えっちしたあと、俺はしばらく放心状態で保健室のベットに横たわっていた。
上月の腕の中にしっかりホールドされながら。
感じすぎて頭がバカになったみたいにぼーっとしていて、
しっかり抱きしめられた後はそのまま素直に上月の胸に頭を預けて、
先ほどの名残のせいか、少しばかり速い上月の心音を聴いていた。
そうしていると不思議なくらい落ち着いた。
このまま何時間でもいられそうだと思うくらいには。
しばらくはそういう穏やかな時間を過ごしていたが、そのうち、上月の出る競技の召集の放送がかかった。
「うわ……やっば、最後の種目忘れてた…」
「……早く、行けよ」
行くのを渋っている様子の上月を急かすように言う。
「…おれは…もうちょっとこのままでいたいんですけど…」
俺の背中を抱く上月の腕の力が強まる。
堪らず俺の胸がきゅっと軋んだ。
「…だってしょうがないだろ…わ、わがまま言うな…」
…俺だって…本当はもう少し…こうしてたいけど
強気な言葉とは裏腹に上月の服をきゅっと掴んでしまう。
上月の温もりにどうしようもなく名残惜しさを覚えて自分でも戸惑う。
「…応援」
「ん…?」
「応援しろよ…俺のこと」
ぼそりとつぶやかれた言葉は、なんだか少し甘えているようで、上月はまた少し俺を抱きしめる力を強める。
「いや…お、俺お前と組…違うし…」
胸がまたときめいてどうしようもなくて
つい照れ隠しでかわいくないことを言ってしまう。
応援とか…するに決まってる…
「いいだろ…それくらい…俺だけ見てろよ」
言われなくても…お前しか見えてないっつの…
そんなことを思いながら目を泳がせていた俺を上月はじっと見つめてきて、
「はる」
優しく俺の名前を呼んで、そのまま唇をよせた。
「ん…んぅ」
キスはとろけるほどに優しくて甘くて
たまらない気持ちになる。
唇が離れると名残惜しくてたまらなかった。
「こ…づき…あの…」
「んー…?」
戸惑いがちに上月を見ると、優しく髪を搔き撫でてくれる。
その優しい手つきや表情にもっとたまらない気持ちになる。
「お、おうえん…するから…だ、だから…もっかいだけ…」
恥ずかしい気持ちとかよりも、上月を欲する気持ちが強くて、思わず強請った。
強請れば上月は与えてくれるって知っているから。
「っ…おまえ…」
一度熱っぽくため息をついた上月が俺の唇を食むようにもう一度キスをしてくれた。
「ん…っは…」
唇が離れ、上月と目が合う。
自分が今、はしたなくとろんととろけた顔をしていることは自覚していた。
「そういう顔で、あんま可愛いこというなって…止めらんなくなる」
おでこにちゅッとキスが降ってきて、上月の体が離れた。
時間という制約があることくらい、頭では理解しているのに、名残惜しい。
「よっ…と…」
乱れた服装をさっと整えた上月はもたつく俺の身なりも整えて、ベッドの脇で俺に背を向けてしゃがみ込んだ。
…?
「なに…?」
「だから、おんぶ。お前歩けないんだから運んでやる」
「えぇ…でも…」
俺は気恥ずかしさから渋ったが、上月に急かされるまま上月の背中に乗っかった。
「……上月の匂い」
上月には聞こえないくらいの声でぽそりと呟く…
しがみついた上月の背中はあったかくて、俺の好きな匂いがして安心した。
「…………」
「…………」
先ほどまでの行為からくる恥ずかしさからか、お互い無言のまま、
気づけば本部テントについていたのだった。
*****
そして今に至る。
「何やってんだ俺は…もおおお…」
思い返せば恥ずかしすぎて、頭を抱えながらボソリと呟いた。
一人になれば己の恥ずかしい行動の数々が走馬灯のように駆け巡った。
今度の上月とのせ…っくすは合意の上だったわけで…俺はなしくずしにOKして…俺自身が上月を求めて…
「ううう…」
は、恥ずか死にそう…
「はるちゃんほんとにだいじょうぶ…?」
悶えている俺を湊くんが心配そうに見ていて我にかえった。
「ほ、本当に…大丈夫だから!し、心配しないで…」
「ならいいけど…あ、最後のリレー始まるみたいだよー帝アンカーだね!」
ドキンと心臓が高鳴り、視線が自然とあいつを探した。
集中しているのか、真剣そうなその横顔に胸がぎゅっとなる。
「どこの組もアンカーはさすがに体育会系の部活のとこばっかだなー…帝大丈夫かな」
たしかにアンカーで準備をしている選手たちはみんな体格が良かった。
頑張れ…上月…頑張れっ…
約束通り俺は心の中で上月を応援していた。
レース終盤、上月の組がトップに僅差で2位につけていた。
上月にはそんな大事な場面でバトンが回ってきたのだった。
トップを走るのは陸上部のキャプテン。
それでも上月はぐんぐんと追い抜こうとしていく。
「…っがんばれ!!!」
俺は思わずそう叫んでいた。
後半にかけてさらに加速していく上月は差をつけてトップでゴールテープを切ったのだった。
「やった!!!」
思わず立ち上がった俺を上月は真っ先に捉えた。
「っ…!」
そのまままたあの無邪気な笑顔でピースしてきたのだった。
ああ、もう敵わないなあ…
と思いながら、俺も笑ってピースを返した。
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