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【出会い 深谷side】
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【出会い 深谷side】
「うーわこいつまたラーメン食ってるよ」
うるせぇ。人の勝手だろ。
大学生。友達とか彼女とか新しい出会いとか新しい趣味とか新しいバイトとか親元を離れた新生活とか。心ときめかす。ようなことは俺にはない。むしろ燃えたぎっている。やってやんぜ。俺はよォ!
元ヤンだってことバレねーように、イマドキな大学生になってやらぁ!
とりあえず金はないのだ!
「…………うるせ」
「ラーメン飽きない?」
「うるせえ」
だから学食で一番やっすい醤油ラーメンすすってんのに、水野はウゲェって目付きで俺を見る。こいつはお坊っちゃまだからな。今日も優雅にコンビニのサンドイッチですよ。あんな高いくせに腹のふくれねーもん、買うなよ食うなよ女子かよ。
地元じゃバリバリの不良だった俺を更正させたのは、この水野君だった。つか、水野はいじめられていた。
学校なんかクソだったけど、そこで中途半端な奴らが中途半端な奴を中途半端にいじめていて、なんかもう中途半端にやり返しそうでやらないこいつにムカついて、指導したのがきっかけ。
いかなる理由があろうとも僕は人に暴力を振らないと、俺には歯向かったこいつに心底ムカついて、それからちょっとだけ見直した。
日本語話せる奴じゃん。
それまではマジでクソみてーな奴しかいなかったから。
なんか俺がこいつをかばうような感じになって、水野ってすげー変な奴で、勉強が好きらしかった。先生と教科書は意味不明だったけど、水野が話してることはキラキラしてて、それが勉強ってことにあんま気付かなかった。歴史とか数学とか理科とかめっちゃエモい。つか猥談。まさかの感動。熱い話。先輩の改造バイクよりヤバい、かっけー世界。
で、気付いたらなんか俺も勉強出来る子になってた。族の奴等とはきっちりケジメつけて別れて、半年ぐらい入院したけど、なんやかやあって高校は留年せずに済んだ。多分、水野がなんかしてくれたんだと思う。テストでいい点取ったら、そのまま学年をあげてくれた。
親なんか頭わいてるバカだと思ってたけど、入院中、水野に言われて俺も目がさめた。子供育てるって大変。あと、ここの治療費。金稼ぐってことが、どんだけ大変か。父親はふにゃふにゃしてる弱気な工場の作業員で、母親は気まぐれにパートをころころ変えてる。実際アホなんだ、あの二人は。水野のご両親とは偉い違い。いやいやそれでも、俺が高校生になるまでどんだけ苦労してきたかって話。グレなくても、大変だった、つう話。
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