アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「…………………口悪ぃの直したいんだよ……」
深谷は小さく呟いた。
「へえ?」
「………………人待たせてるからもういい?」
「水野とかいう奴? なんであんなのと仲いいの? つか、どういう関係? 意外と毒舌とか可愛いと思うけどなあ。あ、俺キモい」
まだ離れたくない。考えなしに思ったことをぶちまけたら、だいぶキモくて、自分でドン引きする。
「うん。キモい」
さすがに深谷もはっきり言ってくれた。ほっとする。だよな。
「…………水野って高校からのダチなんだよ。俺なんも出来ねーから色々してもらってんの」
「へー。いいな」
「だろー。つーか、あいついい奴だから。なんであんなのとか言うな」
「ごめんね」
「わかればよろし」
じゃ、と深谷は片手をあげる。本当に待たせてるんだろう。いいなあ。お友達。俺も友達だったら、もっとこいつと近づけたのかな。
「……………深谷くんさあ、」
「なに」
「…………俺と友達になってよ」
は? 俺なに言ってんの?
あああ!
めっちゃびっくりされてるじゃん、ほらあ!
鳩が豆鉄砲くらったどころじゃねーよ。ていうか鳩が豆鉄砲くらったところは見たことないけども、すげーきょとんとしてる。もうきょとんの文字が見えるくらいきょとんとしてる。
「…………………や、なんかさ、ほら、………俺、入学んときからカミングアウトしてたからさ、そーゆー奴しか寄ってこないんだよね。便利で助かるけど。…………なんか今日、久しぶりに、ちゃんと会話した気が、した」
「………………そうなん」
「そうなんよ」
なんとなく、それっぽいことを言ってみる。どうだ、響いたか。あがあ、駄目っぽい。もうやだ。俺好きなだけなのに。ていうかなに好きとかになっちゃってんだよ、俺。
「……………くそ。やっぱキモいな。ごめん。友達ってなろうって言ってなるもんじゃないよな? なんか駄目だわ、今日。ごめん」
「いや普段のお前知らんし。今日駄目なん?」
「駄目です。これ駄目な浅原です」
「これが駄目な浅原くんか」
「そうです。普段は違うから。もっとちゃんとしてるから」
「あは。なんだそれ」
愛想笑いじゃなく、笑ってくれた。
…………あ、やっぱ可愛い。
「…………いいよ。友達」
「ありがと」
「………………じゃあ、もう行くわ」
「うい」
「うい。………あ、」
「ん?」
疲れた。もっと一緒にいたいけど、いたら自滅しそう。はあ。ちんこ痛い。
「……………やだったらあれだけどさ、呼び捨てでいい?」
気遣わない感じの口調で、深谷は言った。
「え、好きに呼んでいいよ。なんでも」
「やたー。じゃな。浅原」
「あーい」
嬉しそうに手を振って、去っていく。可愛い。小学生かよ。
ああ、くそ。
百戦錬磨の俺が、なんでこんなことに。
嘘だろ。
ありえねー。
なんで俺、あんな奴にマジになってんだよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 197