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【夜 深谷side】
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【夜 深谷side】
「水野も来る?」
「や、僕は疲れたんで帰ります」
ほんとに疲れた顔をして、水野はへとへとになって最寄り駅で降りた。敬語になっちゃってるし。あいつ、帰ったらソッコーで寝るな、きっと。
打ち上げをして、やる気ないサークルなので大半はきちんと帰路につく。あとは、まだ元気な奴がちらほら宅飲みなりカラオケへと切り替える。
「二人は?」
「お勉強」
といったら、皆から遠ざけられた。本分は学業だろうが。ちくしょう。
奴の最寄り駅、は大学のあるところで、案の定いいところに住んでいた。
「家賃いくら?」
「知らん」
「なんでだよ」
親が払ってんのか。そういうことか。お坊ちゃんめ。
部屋も広いし綺麗だし、お洒落なインテリアも照明も雑誌みたいだ。イマドキの大学生、というよりは、イマドキの大学生の理想、をそのまま現実化したみたい。
「……………浅原って出身どこなの?」
「なんで?」
「や? なんとなく」
「………………遠いとこ」
「ざっくりしてんな」
「お前は?」
あ、はぐらかされた。
「俺も遠いとこ」
「真似すんな」
「一緒だったりしてな」
「ないない」
「海ある?」
「………一応。え、待って。海ないっつったら積んでたじゃん」
「……………埼玉山梨奈良……あとなんだ?」
「やめやめ。海ある県出身ですしー」
アルコールじゃない飲み物と、清潔な部屋で映画鑑賞。こいつ潔癖だったりすんのかな。いつも身綺麗にしてるし。
男から見てもそれなりに、かっこいいしな。
「………なに」
「いや、べつに」
俺は目をそらした。
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