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雰囲気のせいにしてもいい。
静寂ではない空間。
ひそひそ話みたいな声のトーンとか。
「……………そーは見えねーけど」
言えることがなくて、でもスルーはおかしくて、ムカつくんだろうなと思いながら直接思ったことを言う。
「や、わりとマジで。…………男が好きってバラした俺もバカだったけどさ。…………友達なんか出来ねーよ」
彼を見たけど、浅原はじっとスクリーンを眺めていた。
一人で映画を観るって、俺はちょっと寂しいなって思っちゃうんだけど。こいつにとっては普通なのかな。
「へえ」
「……………まあ高校んときは少しいたけど。別に。……………人にばっか語らすなよ」
「お前が勝手に喋ったんじゃん」
「うるせぇ。お前はどうなんだよ」
えー。俺?
人に言えるような過去、ないんだけどな。
「……………………わりとバカでした」
「知ってる」
「あー?」
「…………………」
「…………………」
「…………バカってか、天然ぽいよな。深谷って」
「どこが」
「なんとなく」
「………………」
言えるようなこと。探しても出てこない。あの傷バラしたのだって、本当はやりすぎだ。誰にも言うつもりなかった。……でもそうやって、これからはいろんな人に自己開示して友達とか信頼できる人とか増えていくんだろうか。
「………………………ちょちょーい、なんすか、浅原さん」
「ん?」
「ん? じゃない。…………なに?」
腕を回されて、ベッドに抱きあげられる。そっちで観ろってこと?
「え、ちょ……マジでなんなの」
「お前ほんとにバカだなあって思ってさ」
「はー? なに、なんだよ」
「んー?」
「だからそれじゃわからん、……ベタんなよ、なに」
後ろからだっこ、というか羽交い締めに近い。体格差。動けねーんすけど。なんなんだ、こいつ、マジで。
「…………………マジでバカなの? こんだけ言ってもわからん?」
「はあ? なにさ、マジで」
「俺、ゲイなんだけど」
「おう。知ってる」
「…………………普通、家に来るかね」
ん?
え?
どゆことだ?
あ?
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